「好き」を仕事に、自分らしい暮らしを見つける。
栃木の日本酒とクラフトビールから考える、女性の働き方
栃木県が主催する女性向け移住交流会「好きを仕事に!〜私らしい暮らしに出会う、ライフスタイル女子会〜」が、8月28日(金)、東京・有楽町のTURNSコミュニティスペースで開催されました。
今回のテーマは、「食」と「交流」。栃木県で日本酒の商品開発に携わる女性と、地元・日光市にUターンして夫婦でクラフトビール醸造所兼カフェを営む女性をゲストに迎え、栃木で働くこと、地域とつながること、そして自分らしいライフスタイルを実現することについて考えました。
クロストークに加え、栃木のお酒や軽食を囲む交流会など、参加者が自分自身の働き方や生き方を見つめ直すプログラムが展開されました。
▲写真:イベント会場の様子
「好き」を仕事にする。
栃木で自分らしい挑戦を続ける女性たち
「いつか栃木で暮らしてみたい」
「好きなことを仕事にできたらいいな」
そんな思いを持つ女性たちに向けて企画された今回の交流会。
登壇したのは、栃木県宇都宮市の宇都宮酒造株式会社で営業や商品開発を担当する今井亜紀さんと、日光市でクラフトビールブルワリー&カフェ「THE KICHI」を営む細田友加里さん。ファシリテーターは、栃木県出身で地域と人をつなぐ活動を続ける株式会社IRODORIの永井彩華さんが務めました。
セミナーの最初にはゲスト2人が自己紹介を行いました。

▲写真:今井亜紀さん
今井さんは、神奈川県出身。管理栄養士の資格を取得後、結婚を機に栃木県へ移住し、宇都宮酒造で営業・経理を担当する傍ら、日本酒の商品開発にも取り組んでいます。手がけたのは、「女性が作る女性のための純米吟醸酒」をコンセプトとする「ARUSHIROI(アルシロイ)」です。


▲写真:細田友加里さん
一方、日光市出身の細田さんは、建築関係の仕事を経て地元へUターン。日光珈琲での店長経験を経て、2024年8月、夫とともにJR日光駅前に「THE KICHI」をオープンしました。クラフトビールとコーヒーを楽しめる場所を通じて、地域の人にも観光客にも気軽に立ち寄ってもらえる場づくりに取り組んでいます。
異なる経歴を持つ二人に共通しているのは、食やものづくりを通じて人とつながり、地域の中で新しい価値を生み出していること。今回のトークでは、そんな二人の経験を手がかりに、栃木で働くことや挑戦することの魅力を掘り下げていきました。
栃木で「食」を通じて地域とつながる面白さ
まず話題になったのは、「食」を通じて地域とつながる面白さです。
日本酒づくりもクラフトビールづくりも、商品そのものだけで完結する仕事ではありません。原料となる農産物や地域の文化、生産者、商品を手に取る人など、さまざまな人との関係がものづくりにつながっていくのです。
今井さんは自身が携わった「ARUSHIROI」の開発には、県内の米農家やデザイナー、クリエイターとの協働も大切な要素となっているとお話しました。
今井:「『ARUSHIROI』を作るきっかけは、県内で『momo farm』という農園を営む西岡智子さんとの出会いでした。酒米を作りたい女性がいると紹介していただき、まずはうちのお酒に使うお米の一部を作ってもらうことにしたんです。そうしたら、一年目で『特等』を取るというミラクルが起きて! せっかくなので、今度は智子さんのお米だけでお酒を作りたいと思って生まれたのが『ARUSHIROI』です。
ラベルを手掛けてくれた栃木県在住のクリエイター、RARI YOSHIOさんも、智子さんが紹介してくれた方なんです。
食を通じて人とのつながりが広がり、そこから新しいものが生まれていく。そういうところが、栃木や地域で仕事をする面白さだと思います。自分一人ではできないことも、地域の方とのご縁や、それぞれの得意なことがつながることで実現できる。『ARUSHIROI』は、まさにそうした人とのつながりから生まれたお酒です。」
細田さんが営む「THE KICHI」も、ビールやコーヒーを楽しむ場を通じて、地域の人と観光客が出会うきっかけをつくっています。
細田:「店名の『THE KICHI』には、『基地』という意味を込めています。地域の人たちが気軽に立ち寄り、人と人とのつながりが生まれる拠点にしたいという想いからです。
先日、2周年イベントを開催したときも、たくさんの方に来ていただいて大盛況でした。お店で作る食事やビールを通して、栃木や人とのつながりが広がり、新しいご縁が生まれていく。そこが、お店をやっていて醍醐味だと感じます。」
お二人の活動は、地域で働くことが、単に仕事の場所を変えるだけではなく、人との関係や暮らし方を広げることにもつながると感じさせてくれるようです。
▲写真:ゲストがクロストークを行う様子
女性ならではの視点を、商品づくりや場づくりに生かす
トークでは、女性ならではの視点を生かした働き方についても話題に上がりました。
今井:「酒蔵では、女性が酒造りの現場に入ることが制限されていた歴史もあります。宇都宮酒造も、代々受け継いできたお酒を大切に守っていくことを基本としていますが、『ARUSHIROI』のように、女性に向けて、女性が飲みやすいお酒を提案することも、日本酒の新しい楽しみ方を広げる一つのきっかけになると思っています。
女性ならではの視点を生かした商品づくりは、日本酒になじみがなかった方にも興味を持ってもらい、若い世代や女性にも日本酒の魅力を知ってもらえる手段だと思います。」
細田:「女性ならではの細やかな気遣いや繊細な視点は、より良い商品や場所づくりにつながると思います。カフェやお店に行ったときに、『理由はわからないけれど、なんだか心地いい』と感じる場所ってありますよね。そうした居心地の良さは、ちょっとした気遣いの積み重ねから生まれると考えています。
お客様一人ひとりと丁寧に向き合い、そうした感覚を大切にすることで、また来たいと思ってもらえる商品や空間をつくっていけたらと思っています。」
夫婦で事業を営む細田さんならではの視点から、仕事を通じて感じたことや、人とのつながりを大切にした店づくりへの思いが語られました。
商品や店が、地域の人や訪れた人にとって「また来たい」「応援したい」と思える存在になるためには、どのような工夫ができるのか。ものづくりと場づくりの両面から自分たちの思いを形にしていくことについて考える時間となりました。
▲写真:ゲストが商品や活動について紹介する様子
栃木のお酒と軽食を囲んで、参加者同士の交流へ
▲写真:会場に並ぶ栃木のお酒や軽食
クロストークと質疑応答の後は、栃木県の移住相談員から県の紹介があり、続いてお待ちかねのお酒と軽食の時間へ。
会場では、細田さんが営む「THE KICHI」のクラフトビールと、今井さんが商品開発に携わった宇都宮酒造の日本酒「ARUSHIROI」を紹介。さらに、栃木県産の新鮮なお野菜や軽食、ご当地のポテトチップス、栃木県産りんごジュース、栃木県産ぶどうジュース、なども用意されました。
ゲストの仕事や商品について知った後に、実際にその土地のお酒や食を味わえるのも、今回のイベントならではの楽しみです。
交流会では、ゲストやファシリテーターも各テーブルを巡り、参加者同士が自由に会話を楽しみました。
気になったことをその場で尋ねたり、参加者同士で情報交換したりすることで、自分の将来について考えるきっかけが広がっていったようでした。
▲写真:参加者がテーブルを囲んで交流する様子
栃木との新しい関わり方を見つけてみませんか?
栃木県には、日本酒やクラフトビールをはじめとする食の魅力だけでなく、地域の資源を生かして働く人や、自分らしいスタイルで仕事に取り組む人たちがいます。
「いつか地方で暮らしてみたい」
「好きなことを仕事にしてみたい」
「地域とつながるきっかけがほしい」
そんな思いがある方は、まずは栃木の食や人に触れるところから始めてみるのはどうでしょうか?
移住をまだ具体的に決めていなくても、地域を知り、人と出会うことから、自分らしい暮らしのヒントが見つかるかもしれません。