【レポート】鳥取県「週1副社長」プロジェクト・松井太郎さんを招いた講演会 in新潟県小千谷市

「小千谷、最高です!」

講演の冒頭、会場に集まった参加者へ向けて松井太郎さんが最初に発した言葉です。

その理由として挙げられたのは、人の温かさや、地域の人同士のちょうど良い距離感。前日から小千谷市内を巡り、多くの人と交流した松井さんだからこその実感が込められた一言でした。

今回、小千谷市では地域づくりや企業支援のヒントを探る取り組みとして、鳥取県で「週1副社長」プロジェクトなどに携わる松井太郎さんを招聘。初日は市内を視察し、地域の方々との交流、そして2日目に講演会を行いました。

 

小千谷を歩き、人と出会う2日間

初日は、小千谷市内各地を巡りながら地域の魅力や取り組みを体感。

訪問先は、「ホントカ。」「テレワークステーションおぢや」「錦鯉の里」「小千谷市総合産業会館 サンプラザ」「山本山」「おぢやクラインガルテンふれあいの里」「クレープハウス果実の星野屋」など、多彩なスポットです。


▲「山本山」の頂上から、小千谷市を一望していただきました。

夜にはcafe&bal「alba」で地域の皆さんとの交流会を開催。行政関係者だけでなく、地域で活動する方々や事業者との対話を通じ、小千谷のリアルな姿に触れていただきました。

松井さんが特に印象に残ったと話したのが、「ホントカ。」に展示されていた、小千谷市学芸員・白井雅明さんによるパネルでした。

「問い。小千谷による遺伝子とは何か」

展示では、小千谷の歴史や文化を一方的に伝えるのではなく、「このお地蔵様は誰が何で作ったのかな?」「この電柱はなぜこの間隔で立っているのかな?」といった、身近な風景から地域を見つめ直す”問い”が投げかけられています。

松井さんは、「こうした問いを通して、地域の人が自分たちのまちについて考え続けるきっかけをつくっていることが素晴らしい」とコメント。地域の魅力は、答えを教えることではなく、一人ひとりが考え、語り合うプロセスの中で育まれていくものだと感じたそうです。

 

地域に必要なのは「関係人口の量」だけではない

2日目の講演会では、近年注目される「外部人材」の活用について、鳥取県での実践事例を交えながら紹介されました。

松井さんは、地域の可能性を広げるためには、単純に関係人口を増やすだけではなく、「どれだけ深く地域に関わる人がいるか」が重要だと話します。

人数だけを追い求めるのではなく、地域の課題に伴走し、一緒に考え、一緒に動く人を増やしていくこと。それが地域に新しい変化を生み出す原動力になるといいます。

 

外部人材は「人手不足の代わり」ではない

講演で何度も強調されたのが、外部人材の役割です。

外部人材は、単なる人手不足を補う存在ではありません。

重要なのは、「外からの視点」を地域や企業に取り入れること。

地域では当たり前になっていることでも、外から見ると大きな魅力だったり、逆に改善の余地が見えたりします。

だからこそ、

* 新しい事業の立ち上げを伴走する
* 経営者の壁打ち役になる
* 専門知識を持ち込む

といった関わり方が、外部人材の力を最も発揮できる形だと説明しました。

一方で、「フルタイム社員の代替」として都合よく活用しようとしても、本来の効果は生まれにくいとも指摘。

外部人材は万能ではなく、「代替策」ではなく「補完策」として受け入れることが大切だと語りました。

 

地域が変えられることに目を向ける

講演の前半では、松井さんが外部メンターを務める米子工業高等専門学校でのエピソードも紹介。

鳥取県西部では「週1副社長」を活用する企業が思ったほど増えないという課題がありました。

その時に松井さんが伝えたのは、

「変えられないこと」と「変えられること」を分けて考えること。

人口減少や社会情勢など、自分たちでは変えられないことに悩み続けるよりも、地域が今すぐ取り組めることに集中する

この考え方は、企業だけでなく地域づくりにも共通する視点として紹介されました。

 

外部人材を活用するための最初の一歩

では、地域や企業はどこから始めればよいのでしょうか。

松井さんは、次のようなステップを紹介しました。

* 地域や企業の課題を整理する
* 今、自分たちに足りない専門知を3つ書き出す
* 「こんなことができたらいい」という理想を書き出す
* 3か月で解決したい小さな課題を一つ決める
* 期待する成果を言語化する
* 候補者を3〜5名比較し、最後は相性も大切に選ぶ

最初から大きな成果を求めるのではなく、「小さく始めて、小さく成功させ、それを大きく育てていく」

その積み重ねが地域の変化につながると話しました。

 

月3万円でも人が集まる理由

「なぜ、副業人材は月3万円程度でも地域に関わってくれるのか。」

参加者からも関心の高かったテーマについて、松井さんは「地域に貢献したいという思いを持つ人が本当に多い」と説明しました。

もちろん報酬は必要ですが、それだけが目的ではありません。

地域に関わりたい、自分の経験を活かしたい、誰かの役に立ちたい。

そうした想いを持った人材が全国には数多く存在しています。

だからこそ、地域側も「アドバイスだけ」を求めるのではなく、「実行」と「定着」まで一緒に伴走してもらう“ハンズオン支援”として受け入れることが重要だと語りました。


▲講演会の後半には、参加者の皆様と一緒に意見交換&質問タイム

 

地域と外部人材が、ともに未来をつくるために

今回の講演を通じて見えてきたのは、外部人材は単なる「足りない人材」を補う存在ではなく、地域に新しい視点や可能性をもたらすパートナーであるということでした。

小千谷市としても、「市内の企業の皆さんに、このような仕組みを知ってもらい、地域の新たな選択肢として活用していただきたい」と期待を寄せています。

人口減少や人材不足が進む時代だからこそ、地域の外に目を向け、新たなつながりを築いていくことが、地域の未来を切り拓く一歩になるのかもしれません。

今回の2日間は、その可能性を改めて感じる機会となりました。

 

\地方企業の人材イノベーター/
松井 太郎 氏
・株式会社 あきんど太郎 代表取締役
・一般社団法人とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点 代表理事
(とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点 戦略マネージャー)
・昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員
・名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)
・Beta Gamma Sigma(国際経営学術優秀会員)

●プロフィール
シニアが多い全国のプロフェッショナル人材戦略マネージャーの中で最年少。
大阪府出身。ソフトバンクを経て、2016年から現職。地方版ハローワーク「鳥取県立ハローワーク」の無料職業紹介機能と「プロフェッショナル人材戦略拠点」の人材スカウト機能を組み合わせた全国初のビジネス人材誘致プラットフォームを構築し、2019年に「とっとり副業・兼業プロジェクト〜鳥取県で週1副社長〜」を立ち上げ、人口最小県の鳥取を 副業・兼業で全国No.1 (日本経済新聞 2022年11月12日付)に導いた。
また、2017年には鳥取銀行との共同出資により、鳥取県八頭町の「隼Lab.」(旧:隼小学校)に地方創生の総合商社「あきんど太郎」を設立。
著書「週1副社長になりませんか。」 (今井出版)

●会社概要
株式会社あきんど太郎
〒680-0404 鳥取県八頭郡八頭町見槻中 154-2

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