「“いわて暮らし”を学ぶ学校」は、“いわて”の暮らしと暮らす人の姿を通して、“自分だけのほんとうの幸せ”を見つけるプログラム。
2年目となった2025年度は、「“いわて”と参加者」「“いわて”好き同士」の繋がりを深めることをテーマに授業を展開。ゲストを招いての講義や交流、岩手県に関するイベントへの参加や首都圏で活動する“いわて”な団体との交流などを通じて、自分が叶えたい“いわて暮らし”のイメージを膨らませていきました。
この記事では、TURNSフリースペースで行われた講義や、いわて関連イベントに参加した際の様子、岩手県内で開催した卒業旅行の様子をあわせてご紹介します。
1限目:「キックオフ&“いわて”の食を楽しむ交流会」(7/18)
初回では、これから共に学ぶ仲間との顔合わせを兼ねたオリエンテーションを実施。
“いわて暮らしを学ぶ学校”の校長である佐藤柊平さんをファシリテーターに、岩手県の基礎知識やこの講座で学べること、目指す姿について説明を受けました。
後半では、岩手県内で“複業フリーランス”として幅広い活動を展開している手塚さや香さんをゲストに迎え、自身の体験を踏まえながら、移住に対する考え方や自分らしい暮らし方についての講義を開催。

講義後の交流会では、佐藤さんや手塚さん、岩手県職員の方も混ざり、岩手ならではの食を楽しみながら会話を弾ませました。

2限目:「“いわて”との関わり方〜いわてにおけるキャリアとライフプラン」(8/8)
2限目では、“暮らし”を語る上で欠かせない「仕事・働き方」について座学を開催。3人のゲストを迎え、それぞれの視点からお話を伺いました。
1人目のゲストは、いわて暮らしサポートセンターで移住コンシェルジュとして活躍されている三浦 身知子 さん。日々、多くの移住希望者と関わりを持つ三浦さんならではの経験値で、自身に合った地域の選び方や、移住を成功させている方が実践していること、実際にどのような支援を受けることができるのかなど、現実に即したお話を伺うことができました。
2人目のゲストは、葛巻町の地域おこし協力隊として移住後に起業し、現在は(一社)いわて地域おこし協力隊ネットワークの代表理事として、県内の地域おこし協力隊の支援を行っている高野 嘉明 さんです。高野さんからは、地域おこし協力隊制度を活用しながら、自身のやりたいことを実現していく可能性を示していただきました。
3人目のゲストは、盛岡市出身の高橋 和氣さん。高橋さんは2017年にUターンし、現在は自身の事業を展開しながら、社会人の学び直しを推進するコーディネーターとしても活動されています。この日は、岩手の産業界・経済界の詳しい動向を踏まえながら、岩手で移住後に活躍するための思考やアクション方法、キャリア形成のポイントについて、例を挙げながら解説していただきました。
後半ではゲストが各テーブルを回り、参加者と直接会話する時間も。それぞれが移住に関して抱いている疑問や不安を相談したり、暮らし方や働き方の可能性を探ったりと、“いわて暮らし”実現に向けた具体的な一歩を踏み出しました。

3限目:「『THEいわてDAY』に参加しよう!」(8/30)
3限目は教室を離れ、イベントへ!
岩手県内全33市町村+企業・岩手県関連の相談・PRブースが集まる「THE いわてDAY」に参加しました。このイベントでは、ブースで役場の方から気になる地域について話を聞いたり、「岩手」や「移住」に焦点をあてたステージ、ワークショップなどを体験することができます。

ひとつの市町村についてじっくりと理解を深める方、多くの市町村の情報を集めて幅広く移住先を検討する方、ステージでの講義に耳を傾ける方など、参加者それぞれが興味のあるブースに足を運び、“いわて暮らし”へのイメージを広げていきました。
課外授業:「首都圏の『いわて』な団体と繋がろう!」(9/13)
“いわて”にまつわる活動を首都圏で展開している団体の方との交流を通じて、移住だけでなく、他の地域にいながら“いわて”と関わる可能性について考えてもらう課外授業を開催。

ゲストには、「いわて銀河プラザ応援女子会 anecco.」代表の小田さん、「岩手わかすフェス実行委員会」から高橋さんと家田さんにお越しいただき、首都圏で“いわて”とどのように関われるか、繋がりを作る方法などを、活動内容や自身の体験を踏まえて紹介。その場で活動への参加を申し出る生徒も現れ、“いわて”との新たな関わりを増やす機会にもなりました。
4限目:「卒業式&発表会」(9/26)
最終回では、「岩手で叶えたい“自分らしい暮らし”」をテーマに、実際に移住した自分の姿を具体的にイメージするワークを実施しました。

どこに住み、どんな仕事をし、どんな日常を送り、どんなことに幸せを感じているのか。これまでに学んだ知識をもとに、“自分だけのほんとうの幸せ”を言語化してグループ内で発表。お互いが思い描く自分だけの理想の“いわて暮らし”に熱心に耳を傾け、それぞれがお互いの視点や考えを尊重する姿が印象的でした。

ゲストとしてお越しいただいた手塚さん・三浦さんも、生徒たちの“いわて暮らし”への解像度の高さに驚いたそうで、「ぜひ岩手で実現してください!」と熱くコメントをしてくださいました。


最後には成績優秀者への表彰と、佐藤さんからの卒業証書授与が行われ、「“いわて暮らし”を学ぶ学校 2025」は閉校。
参加した生徒さんたちは年代も属性もさまざまで、数年以内に岩手移住をする予定の方、岩手県が好きでよく訪れているという方、今後の移住を考え始めている方、関係人口としての関わり方を考えている方など、“いわて”との関わりは深度も方向性も異なりますが、“いわて”を共通ワードに新たなコミュニティが生まれ、授業やイベントへの参加を通じて交流を広げることができました。
授業はこれで終了しましたが、生徒さん同士の交流はその後も続いています。それぞれが「自分だけの“ほんとうの幸せ”」を“いわて”で実現できることを、スタッフ一同応援しています!
「盛岡にはよく行っていてなんとなく将来住めたらいいな、と思っていたのですが、講座を通して岩手でどんな暮らしをしたいのか、イメージが具体的に固まってきました」(50代 男性)
「すでに移住に向けて具体的に検討を進めている段階で参加しました。実際に移住コンシェルジュの方や県職員の方とお話させていただいて、気になった場所のことを深掘りできたり、どんな支援や制度を使えばいいのかを教えていただいて、参考になりました」(30代 男性)
「もともと地域おこし協力隊制度に興味があったので、経験者のお話を伺えて、どのようにキャリアを重ねていけばいいのかが見えてきました」(40代 女性)
<卒業旅行に行ってきました!>
4限目にて授業は終了しましたが、「ぜひ実際に岩手を訪れてもらいたい!」という思いから、卒業旅行を実施!佐藤さんがコーディネーターとなり、岩手県のさまざまな地域を巡りました。

集合は、佐藤さんのホームタウンである一関。まずは2025年5月に新しくオープンした「道の駅だいとう」を訪れ、地域の産品やまちの雰囲気を堪能しました。地元ならではの新鮮な農作物や加工品がずらりと並び、改めて自然と紐づいた岩手の食の豊かさを感じることができました。

その後は、発酵食品をテーマにした施設「カモシー」でランチタイム。岩手には発酵食文化が根付いており、そのエッセンスを体感することができます。海辺の町ならではの新鮮な魚介類や人気のパン屋など、豊富なメニューに目移りする参加者たち。

途中、NPO法人SETのメンバーとして地域活性化に取り組む陸前高田市議の木村さん(東京からIターン)と、わかめの生産と編集業を本業に自身のライフスタイルブランド「ura」を立ち上げて幅広い活動を行う三浦さん(神奈川からIターン)のお2人が合流。美味しい食事に舌鼓を打ちながら、移住の体験談や岩手でのキャリア、暮らし方について会話を楽しみました。

移動中は、復興が進む陸前高田のまちを見学。新たな施設が誕生すると同時に震災の記憶を継承していく姿に、それぞれが想いを馳せていました。
続いて訪れた釜石市の「ココイロこすもすファーム」では、オーナーの石塚さんと共に手塚さんが参加者をお出迎え。オーナーは県外からの移住者で、この土地にあった公園と創作レストランを受け継ぎ、新たに「遊べる農園」としてオープン。カフェでは農園でとれた新鮮なフルーツを使ったドリンクやスイーツを提供しています。

当日はちょうど地域の特産品である「甲子柿」のシーズン。生の甲子柿が楽しめる貴重な機会ということもあり、多くの参加者がオーダーしていました。

ここでは手塚さんから改めて移住に関する心構えや考え方について説明を受けたのち、石塚さんから自身の移住体験談、農園とお店を引き継いだ経緯や想い、釜石の風土や魅力についてお話を伺いました。

1日目のラストは遠野市へ。認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク マネージャーの田村さんにご案内いただき、市街地を散策。スーパーなど暮らしに直結する施設も見学したのち、お話を伺いました。

田村さんは、20年ほど前に東京から遠野市に移住。現在は市の移住コーディネーターも兼任しており、体験型のおためし移住ツアーやグリーンツーリズムなど、遠野の魅力を体感できるプログラム運営にも積極的に関わっています。この日も、自身が住まう中で出会った遠野の人々や暮らし、移住者として見た遠野の姿、土地の魅力を、映像資料とともに丁寧に伝えてくださいました。
「移住してみて感じていることは、人の縁。22年間、人に惚れ続けて遠野にいます。今でも文化の違いを感じることはありますが、それが良い・悪いではなく、違いとして楽しむことを大切にしてほしいですね」(田村さん)

その後はブルワリー「遠野醸造」にて、交流会を開催。田村さんや県職員も参加し、地元民ならではのざっくらばらんな“いわて”トークが展開され、参加者も興味津々の様子で耳を傾けていました。

卒業旅行は当初、1日のみの予定でしたが、田村さん・佐藤さんの提案で、翌日も遠野市をレンタサイクルで案内していただけることに!

川と緑が織りなす景観は、遠野の魅力のひとつです。生徒の皆さんが暮らす首都圏ではまだまだ暖かい日が続いていましたが、遠野はすでに肌寒さを覚える季節に。ひと足早く感じる冬の気配からも、“いわて”を感じることができたのではないでしょうか。
