福島で生まれる新しい地域交流の形

福島県 地域交流型ワーケーションモデルツアー レポート

いま注目を集めている「ワーケーション」。
福島県では、このワーケーションを活用して県外企業と地域との交流から、継続的な関係づくりを構築するための積極的な取り組みが行われている。今回は短期集中で現地を巡るツアーに同行し、参加側・受入側それぞれの企業が未来に抱く思いも伺った。


長引くコロナ禍を背景にテレワークが浸透したことで、旅先で働きながら休暇を取る「ワーケーション」というスタイルも広く知られるようになってきた。
現在、福島県が取り組んでいるのは、そんな従来型のワーケーションから一歩進んだ「地域交流型ワーケーション」。「ワーク」と「コミュニケーション(交流)」「コントリビューション(貢献)」「コラボレーション(共創)」を掛け合わせた言葉で、地域と県外の企業をつなぐ新しいモデルとして注目されている。
「地域交流型ワーケーション」の特徴は、県外企業の社員がテレワークを行いながら福島県内に滞在し、地域住民や企業と交流を図る点にある。実施の回数や期間、場所などは、参加企業の事業内容や希望を聞きながらマッチング。現地では地域の生産者や企業を訪ね、意見交換などを行う。参加側にとっては、地方の人材との交流により社員の成長の機会が得られるほか、その土地の地域資源を活かした新規事業の可能性にもアプローチできるのがメリット。一方、地域にとっては多様な企業との出会いの場が生まれることで、課題解決や新たなビジネスチャンスの獲得にもつながると期待している。
今年度は川俣町のほかカ所以上の自治体で受け入れが行われ、さまざまな可能性が生まれている。今後は対象地域をさらに広げ、関係人口の創出を図るそうだ。ワーケーションの新たな形が、ここ福島でも始まっている。

大きなビニールハウスが並ぶ、受入企業のひとつ「株式会社smile farm」。

ビニールハウスでは色鮮やかなアンスリウムがお出迎え

 

現地視察を通して育まれる企業間の信頼

今回の地域交流型のワーケーションでは、川俣町のアンスリウム農家を訪問。実際の農作 物に触れ、生産者の顔を知り対話をしながら、双方の事業に対する思いを共有していく。 参加企業の「株式会社ジャパンフラワーグループ」松村吉章社長と、受入企業側の「株式会 社smile farm」谷口豪樹代表に、今回のワーケーションに参加したきっかけや、交流を通 しての感想、今後の事業への期待について聞いてみた。

株式会社smile farm
谷口豪樹代表
埼玉県から福島県に移住し、「株式会社smilefarm」を設立し2018年熱帯植物アンスリウムの栽培に取り組む。将来は観光農園にすべく、準備を進めている。現在はいちごの栽培も。

株式会社ジャパンフラワーグループ
松村吉章社長
富山県を中心にフラワーショップや、花にまつわる事業を展開する「株式会社ジャパンフラワーグループ」の代表取締役社長。モットーは「花を通じて幸せを創造すること」。

 

▽ワーケーション行程表
1/18
・郡山市内でテレワーク
1/19
・「かつらお胡蝶蘭合同株式会社」訪問
・東日本大震災・原子力災害伝承館にて 「一般社団法人とみおかプラス」と交流
・「いこいの村なみえ」に宿泊
1/20
・震災遺構「浪江町立請戸小学校」視察
・「道の駅なみえ」視察
・川俣アンスリウム農家
「株式会社smile farm」視察
・川俣町内視察
・解散

 

地域を知り、交流を重ね新たな可能性が生まれる

―松村社長が「株式会社smilefarm」さんを訪れるのは2回目だそうですね。

松村:はい。前回来た時にはこの場所も倉庫の状態だったのですごく変わっていて驚きました。愛情を持って事業に取り組んでいるのが伝わってきて、来てよかったなと思います。

谷口:ありがとうございます。まだ完成とは言えませんが、徐々により良い環境に整備していけたらと思っています。

間近に生産品を眺められるのが視察の利点。

―松村社長は、今回なぜ「地域交流型ワーケーション」に参加しようと思われたのでしょうか。

松村:私自身、富山にグループ本社がある地方の人間です。東京や大阪にも店舗はありますが、やはり地方こそふるさとという思いで事業を行っています。しかも花卉栽培に携わっている農家さんはほとんどが地方の方。谷口さんのようにハンデをはねのけながら、若い感性で花卉業界に貢献してくださっている方は、特にたくましく感じます。私たちも何かお役に立てることがあるのではと思い、参加しました。

―谷口さんは「株式会社ジャパンフラワーグループ」さんと交流してみていかがですか?

谷口:視察でいらっしゃる方は多いですが、松村社長のように裏側のストーリーまでしっかり見ていただけるのは私たちとしてもうれしいです。回目の来社の後も情報交換を続けながら気にかけていただけるのは、今回の事業ならでは。いろいろな気づきもいただき、お客さんにもっと良いものを届けたいと、力をもらいました。

最新の栽培技術「ポリエステル培地」により育成されたアンスリウム
 

―今回のワーケーションで、印象に残ったことはありますか?

松村:浪江町・富岡町・葛尾村も訪問したのですが、東日本大震災の被害の大きさを改めて痛感しました。しかし、そこでも花の生産者さんが活動していることを知り、感動しましたね。まだこれからなんだと希望を感じることができましたし、何か力になりたいと強く思いました。
福島はそれぞれの町に特徴があるので、今回のようにひとつの場所だけではなくいろいろな目的地を巡るようなツアーができると事業者にとっても良い刺激になります。地域の歴史を学び、こだわりを学び、人と触れ合ってお互いを理解し合うのが、この事業の本質だと実感しました。

―受入側としては「地域交流型ワーケーション」のどんなところに可能性を感じますか?

谷口:僕ら生産者は良いものを作るのが大前提ですが、それを広めていくのが苦手。今回、松村社長には実際にこの場所に来て、どんな思いで活動しているかも知ってもらえた上で、商品のPRの仕方やSNSでの発信についてご意見をいただきました。そういう足りないところを補い合えるようなつながりが生産者にとってはありがたいですし、地域にも良い効果をもたらすのではないでしょうか。

村松:ぜひその点も一緒に発信していきましょう!

互いの事業や展望など、視察を通しての意見交換を積極的に行った。

 

(文:渡部あきこ 写真:中島悠二)

 

                   
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福島県 企画調整部 地域振興課
TEL:024-521-8023
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