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女性が活き活きと活躍できる!
関市で2店舗のカフェを経営

「地元でカフェをしたいけど、やっていけるか不安・・・」そう思っている方は案外多いのかもしれません。実際に関市で「カフェ マビッシュ」を営む亀山久美子さん。祖父母の介護をきっかけに関市に移住し、自宅を3ヵ月かけて改装したお店は、手作り感あふれた温かい雰囲気を感じます。最近では姉妹店「カフェ・茶房宗休」を関市内にオープン。憧れだけではない、小さな町のリアルなカフェ事情をお聞きしました。

 

『生活しているだけでいいんだよ』と思えた原体験

もともと関市で育ったという亀山さん。大阪の製菓学校を卒業した後、神戸のフランス料理店に就職しました。パティシエとして入社し、13年ほど在籍したお店では、最終的にベーカリーのカフェ部門を任されます。

「自分でお店を持つならパティスリーがいいと思っていたんですが、働いていくうちにパティスリーとレストランの両方の良さを発揮できるカフェが自分にあっていると感じるようになりました」

入社して3年が経った頃、本場・フランスのプロヴァンスに修業へ。のどかな田舎のレストランで働いた原体験が今のお店作りに影響していると言います。

修業先は、地元の人にも観光客にも愛されるお店。そこで驚いたのは、食事に訪れるお客さんだけでなく、働くスタッフも常に穏やかに過ごしていたこと。「神戸で働いていた頃とは全く違う環境でした。都会は競合店舗が多く、新作メニューをどんどん出していかないと他店に負けてしまうので、年がら年中新作のことを考えていました。どっぷりと仕事に浸れるほうが好きな人もいると思いますが、私はずっと気が休まらなかったです」と、当時を振り返ります。

フランスで、自分を見つめ直した亀山さんは、狭い世界で生きていたことにも気付きます。

「日本のことを聞かれた時に、何も答えられなかったんです。フランス人は自国愛が強くて自分の国のいいところを話せるんですが、私は謙遜して悪いことばかり言ってしまって。神戸にいたころの自分は自分の国のいいところも知らない、井の中の蛙だったんだな、と」

そう話す亀山さんは、プロヴァンスで暮らしている人々を見て、「生活しているだけでいい。目標をもってせかせかして頑張らなくても大丈夫なんだ」と感じたそうです。そして、いずれは、自分もそういった気持ちで働けるお店を作りたいと思うようになります。


▲カフェ マビッシュ・オーナーの亀山久美子さん。

そんな亀山さんが生活する場に選んだのは、生まれ育った関市。何かに追われることもなく、心に余裕を持って働くことができる関市は、どこかプロヴァンスに似た空気が流れています。

「移住したことで気持ちが楽に。都会のような満員電車もないし、フットワークが軽くなりました。以前は休日に遠出するのも億劫だったんですが、視野が広くなって心にゆとりができました。遠出しても、関市に帰って来るとホッとして疲れが癒されます」

亀山さんは関市で暮らし始めてから、都会で抱いていたマイナスな気持ちや違和感が解消されたと言います。

 

やっていけるか不安だったため、まずはキッチンカーで営業

暮らしの面ではストレスがなくなった亀山さんですが、カフェの開業には不安もあったそうです。高校時代にアルバイトをしていたフランス料理店で働きながら開業準備を開始。物件を探したり、大工さんに見積もりをお願いしたり。しかし、借り入れをしてまでお店を建てて、人口の少ない関市で本当にやっていけるか心配でした。

そこで、もし人が来てくれなくても移動販売ができるよう、まずはキッチンカーを自宅の庭に置いて営業を開始。

しかし、新しいもの・変わったもの好きな関市の人たち。亀山さんの不安をよそに、近所で徐々に口コミが広がり、お客さんは順調に増えていきました。キッチンカーの前にテーブルと椅子を置き、その場で飲食できるちょっとしたスペースも。その結果、1度も移動販売することなく営業を続けられたそうです。

キッチンカーでの営業が順調にいき、自信をつけた亀山さんは、店舗営業に踏み切ります。お客さんが増えて人手が必要となったため、旦那さんにも手伝ってもらいながらアルバイト1名と計3名で営業しています。


▲手作り感あふれる店内は、地元でもかわいいと評判です。

 

姉妹店・カフェ茶房宗休をオープン

2019年2月には、関善光寺の境内に姉妹店「カフェ茶房宗休」をオープン。もともとあった茶店を改装した和風カフェです。宿坊も備えた茶房宗休は、海外からも多くの人が訪れます。

もともと善光寺の住職と繋がりがあった亀山さん。住職から「高齢の方がボランティアでやってくれているけど、体がきつくなってきたそうなので誰か茶店を継いでくれる人を探している」という話を聞いたのが、姉妹店を始めようと思うきっかけに。

その話を聞いたとき、親戚が関市に来るたびに「せっかく大きなお寺なのに、閑散としていてもったいない。もっとあそこの周りが賑やかになればいいのに」と言っていたことを思い出したという亀山さん。人のつながりが深い関市だからこそ、想いが実を結んだのかもしれません。

古かった建物をカフェらしくリニューアル。もともと住居スペースだった和室は、テラスを備えた飲食スペースに。関市には和食店は多くても和風カフェは珍しかったため、「雰囲気がいい」と評判になりました。

姉妹店を始めるときに、店長を誰かに任せたいと思っていた亀山さん。関市に戻って来てから働いていたフランス料理店で一緒だった元同僚に声をかけることにしました。食べるのも作るのも好きで「子どもが大きくなったらカフェがやりたい」という想いがあったという店長の夢を叶える手伝いができたのも嬉しかったと亀山さんは話します。

こうして、関市でできた繋がりが新しいお店を生みました。


▲姉妹店「カフェ茶房宗休」。宿坊もあるので遠方からの観光客にもおすすめ。

 

女性が活躍する町で、飲食店をやりたい人のサポートを

「住んでいる人が心地いいと思える町にしていきたい。関市にはハンドメイド雑貨の制作など、自分のできる範囲でやりたいことを叶えている女性が多いんです。経験が少ないためにお店を持つという一歩が踏み出せない方のサポートをしたい。自分の経験を活かして背中を押したいです」

そう話す亀山さんは、善光寺で月に1回開催されるマルシェ「おしゃべりブランチマーケット」の運営にも参加しています。その他にも女性が活躍できるイベントの開催も多い関市。できる範囲で地域を盛り上げようとする女性たちと一緒に、自分にもできることがあれば積極的に手伝っていきたいと話す亀山さん。

やりたいことがあっても一歩を踏み出す勇気がない、という人も、がんばっている女性が多い関市には、夢を実現するチャンスがたくさん眠っていそうです。これからますます女性が活躍しやすい町になっていきそうですね。


▲地元のとれたて野菜を使ったキッシュは「カフェマビッシュ」一番人気のメニュー。

 


亀山久美子さんに質問!

Q:同業者との繋がりはありますか?
A:地域活動で交流を深めた人のお店に食事をしに行ったり、逆に来てもらったりすることもあります。

Q:関市はどんな人が多いですか?
A:いろんなことを受け入れやすい、オープンな地域性。穏やかな人が多く、みんな観光客にも親切に接している印象があります。

Q:移住して変わったことは?
A:ストレスが減りました。昔はストレス発散が買い物だったけど、今は周りに誘惑が少ないので、物欲もストレスもあまりたまりません。


【プロフィール】
亀山久美子さん
大阪の製菓学校を卒業し、神戸のフランス料理店に就職。フランスのプロヴァンスへも修業に。13年ほどフランス料理店に勤務した後、Uターンで関市へ。準備期間を経て「カフェ マビッシュ」をオープン。宿坊を備えた姉妹店「カフェ茶房宗休」も営業。

<店舗情報>
■カフェマビッシュ
住所:〒501-3233 岐阜県関市西木戸町7−番地
TEL:0575-23-6353
営業時間:9:00~19:00 (モーニング9:00~11:30/ランチ11:30~売切れ次第終了)
定休日:日曜、月曜

■カフェ茶房宗休
住所:〒501-3882 岐阜県関市西日吉町35
TEL:0575-46-9739
営業時間:11:00~17:00 (ランチ11:00~14:00/カフェ14:00~)
定休日:火曜日、第1水曜日

 

写真/長尾里恵
文/岩井美穂(広瀬企画)