知らない土地で、新しい暮らしを始めてみたい。そう思ったとき、まず立ちはだかるのが「仕事」の壁だ。そんな中、〝林業〞という選択肢への入口が、誰にでも開かれていることをご存知だろうか。
『こうちフォレストスクール』は、全国から参加できる林業の第一歩として林業の現場に触れる機会をひらいている。そこでの体験をきっかけに、仕事として林業を選ぶ人も少なくない。
なかでも高知は、学びや支援の仕組みが整い、林業を始めやすい地域のひとつでもある。このスクールをきっかけに林業の道へ進んだ人たちは、どんな〝はじまり〞を経験したのか。
『こうちフォレストスクール』出身のお二人にお話を伺った。
林業、木育を広めたい。
愛知の山ガールから、高知の林業女子に

冨田美来さん (同)フォレスト高知 [フォレストスクール R4参加]
林業会社に勤めながら、林業を一から学べる高知県立林業大学校で講師も務める女性がいる。愛知県から移住してきた冨田美来さんは、元保育士。なぜ幼児教育から林業の世界に入ったのか。しかも愛知から四国・高知へ――。
元々山が好きで、保育士として働きながら休みの日は毎週末のように山登りに出掛けていた。
そんな中、コロナ禍が起きる。「自分の生活やこれからの暮らしを考えた時に、好きな山にかかわることがしたい」と思うようになり、2022年、保育士を辞めて長野県の山小屋で働き始める。
その一方で、環境問題の講演会や山に関するワークショップに参加し、「林業」という分野があることを知る。具体的な中身はまったくわからず、自分で調べるうちに「こうちフォレストスクール」の存在を知り、オンラインでスクールを受講した。
その1年後の2023年には、山小屋を辞めて高知県立林業大学校に入学。高知を選んだ理由は、「設備が他県より群を抜いていたこと」と、「山に日々出ているプロが教える高い技術力」に魅せられたから。そして「一人一人の実情にあわせて、最終的にみんなが同じレベルになるように丁寧に教えます」という講師の言葉が決め手になった。
大学校では2年間、基礎課程と専攻課程でじっくりと技術を学んだ。「林業は危険と言われるけど、正しい知識を身につけていれば、リスクは回避できます」。卒業後は山の現場に立ちたいとの思いから、高知の林業会社「フォレスト高知」に就職した。
現在の仕事は、山仕事が4割、大学校での講師やイベントの開催などが4割、残り2割が事務仕事。「林業といっても関わり方はいろいろ。その人の実情にあった仕事を選ぶこともできます」と語る。
林業に関心のある女性たちと一緒に活動する「林業女子会@高知」のメンバーとして、間伐体験なども積極的に開いてきた。
さらに今後、力を入れていきたいのが「木育」だ。「林業を身近に感じてもらうには、子供の頃に木と触れ合うことが大切」。そのために保育士の経験を活かし、児童クラブなどで木工クラフトのイベントを開いてきた。今年も夏に数件の開催を予定している。
「山の現状や問題点を知った限りは、目を背けることができなくなりました」と語る冨田さん。「産業として林業が成り立っていくためには、まず林業のことを知っている人を増やすこと。少しでも役に立ちたい」と、夢は大きく広がっている。

東京から馬路村に。
都会に疲れた人こそ高知で林業を
上利洲さん 馬路村森林組合 [フォレストスクール R4参加]
高知県東部の中山間地域に位置する馬路村。人口約750人の小さな村は、豊臣秀吉の時代から良質な木材の産地として全国に名を馳せる「林業の村」でもあり、時代が移り変わっても、基幹産業であることに変わりはない。
そんな馬路村の森林組合に身を置き、山仕事に精を出す男性がいる。
東京でのサラリーマン生活を辞め、家族4人で馬路村へと移り住んだ上利洲さんだ。
現在は林業技術職として重機の操作や伐採など、たくましく現場をこなしている。
数年前まで、上利さんは東京の満員電車に揺られていた。過酷なデスクワーク、深夜に及ぶ残業、人間関係の軋轢。子どもたちが起きる前に家を出て寝静まった頃に帰宅する毎日のなか、知らず知らずのうちに心身は限界を迎えていた。そんなある日、我が子から無邪気に放たれた一言が、上利さんの胸に突き刺さる。
「次はいつ家に遊びに来るの?」
それは、東京暮らしに見切りをつけるには十分すぎる言葉だった。
妻の実家がある高知への移住を模索するなか、東京で開かれた移住フェアで林業ブースに出会う。
さっそく「こうちフォレストスクール」に申し込んだ。さらに、高知県立林業大学校で学べば資格も取れて仕事も見つかると考え、入学を決意。
まずは家族で高知市へと移住した。
大学校には1年間通い、重機の操作を中心に12種類もの資格を取得した。
就職先に選んだのは、インターンで訪れた馬路村。理由は「どうせ移住するなら中途半端ではなく、とびっきりの大自然がよかったから」。だが最大の決め手は、村の人々の圧倒的な優しさとおおらかな雰囲気に魅了されたからだった。
夏の時期は朝4時に起床して現場へ向かう。一見ハードそうに思えるが、毎日子どもと一緒に夕食を食べられる生活がここにはある。週末は家族でドライブをしたり、高知市まで買い物に出かけたりと、家族一緒の穏やかな時間を満喫している。
気がつけば、都会ですり減り、バランスを失っていた心は、高知の深い緑と家族の愛に包まれて、いつしか元通りに癒やされていた。「東京にいた頃より、今の方が確実に幸せですね」。そう語る上利さんの表情は晴れやかだ。
どんな人に林業は向いているか、との問いに上利さんは即答した。
「高知の林業には、都会の忙しさやノルマ、ストレスとは違った働き方があります。自然や人との距離が近い環境の中で、自分らしく仕事に向き合える。ぜひ高知の林業に飛び込んできて欲しいですね」

こうちフォレストスクールの特徴

林業の基礎知識が身につき、さらに学びを深めたい方には、林業大学校などの進路も紹介。林業就業へのスタートとして活用できます。

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開催日 2026年7月11日(土) 〜2026年12月5日(土) 時間 会場による 会場 上記画像参照 参加費 無料 お問い合わせ先 ◎オンライン/東京・大阪会場:株式会社 アール・ピー・アイ
(担当:藤野・笠原・清水・丸木)
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◎高知会場:(公財)高知県山村林業振興基金 高知県林業労働力確保支援センター
(担当:野口・坂本)
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