「プラ寝たリウム」に「GPSアート」!?
観光学を学ぶZ世代が仕掛ける
千葉県長生村ちょうせいむらアップデート計画

千葉県長生村×東海大学観光学部 「地域活性化プロジェクト」報告会

東海大学観光学部の学生が千葉県長生村の地域活性化策を考える「地域活性化プロジェクト」の報告会が、2月4日に長生村交流センターで行われた。本プロジェクトの実施は昨年に続き2度目。今年は前回の取り組みを深化させる形で焦点を4つのテーマに絞り、各チーム考案のアイデアが発表された。

本記事では、昨年10月に行われたフィールドワーク合宿の様子も織り交ぜながら報告会の中身を伝えていく。Z世代のフレッシュな視点による多彩なアイデアをご覧いただきたい。

 

合宿、学園祭イベント、報告会の3ステップで交流を図る

観光心理学を専門とする服部泰先生のゼミ生16名が参加して行われた本プロジェクト。前回参加した先輩ゼミ生の実績を受け継ぎつつ、今年は「体験」「食」「新規イベント」「既存イベント」の4つをテーマに設定。学生たちはそれぞれのテーマごとに班を編成し、チーム制で取り組んだ。


2日間にわたるフィールドワーク合宿では、長生村を訪れて課題をリサーチ。学園祭でのイベント、最終報告会を含めて3度の接点を設け、継続的な関係を築きながら地域の課題に向き合った。

大学でプロジェクトの皮切りとなるオリエンテーションが開かれた後、昨年10月に長生村で2日間のフィールドワーク合宿を行った。

初日の午前中は、株式会社合同資源の本社を訪問。医薬品のほか、液晶ディスプレイ、畜産用飼料など多分野に使われるヨウ素で世界シェア7%を誇り、生産能力日本一の工場を擁する同社で長生村の産業を学んだ後、午後から各担当テーマのリサーチに着手した。


株式会社合同資源では、時枝龍取締役らの案内でヨウ素生産の歴史や製造工程を学び、その後、本社併設の「鉱石資料館」で全国各地の鉱山で発掘された鉱石を見学した。

合宿後、フィールドワークで感じた課題をもとに地域活性化策の案を考え、11月に開催された東海大学品川キャンパスの学園祭で中間報告を兼ねた長生村の魅力発信イベントを実施。さらにブラッシュアップを重ねた上で、「学生たちが本気で考えた地域活性アプローチ報告会」と題したこの日の最終発表に至った。


地元住民のほか、田中喜宣副村長も招いて行われた2月4日の報告会。成功事例も資料に盛り込みながら、各班ともに入念に練り上げたプレゼンテーションを披露した。

服部先生はフィールドワーク合宿の終わりに、「どの班もあらかじめゴールのイメージを描いてきましたが、2日間の合宿を終えて、それがすべて崩れているのが面白いですね」と話し、見たものをただ詰め込むのではなく、観光産業を志す彼らの工夫が感じられるアイデアが生まれてくることを期待。その思い通り、それぞれの班に4か月の軌跡が感じられる報告会となった。

 

【体験班】
いっぱい動いて、みんなで昼寝⁉︎「長生きしよう!ツアー」

報告会のトップバッターを担った体験班は、「体験による地域の観光資源創出〜『長生きしよう!ツアー』のご提案〜」というタイトルで発表に臨んだ。


長生村の特徴を取り入れた体験型観光ツアーを提案した体験班の3人。村で出会った人に積極的に質問を投げかける姿が印象的だった。

本班はフィールドワーク合宿の1日目に、リゾート型温泉施設「スパ&リゾート九十九里 太陽の里」を見学した後、近くの一松海水浴場を散策。そのほか、村内で「Farm Cafe Gon」を営む古川亮太さんを取材した。2日目は自転車で尼ヶ台総合公園や神社等を調査し、長生村文化会館でプラネタリウムを体験。その中で、開館から30年以上が経つ長生村文化会館の新たな活用に興味を持った様子だった。


都内の企業に勤めた後、地元にUターンして起業した古川亮太さんにインタビュー。村内の貸し農園「長生ファームランド」の管理にも携わる古川さんに、農業を柱にした関係人口的な関わりしろや長生村の暮らしの魅力について尋ねた。

彼らがフィールドワークを通じて感じた長生村の課題は、「観光資源を十分に活かせていない点」と「長生村ならではの魅力が弱い点」の2つ。そこを原点に考案された「長生きしよう!ツアー」は、長生村の名前にちなんだ“長生き”をフックに「いっぱい食べて、いっぱい運動して、いっぱい自然に触れる」ことをテーマにした、20代から30代をメインターゲットにした体験型観光ツアーだ。

体験型観光ツアーを立案した理由として、「体験型観光は長生村のように特質した観光地がなくても、工夫次第でその地域ならではの観光資源をつくれることや、体験を通して地域につながりを感じて関係人口の創出に寄与することができると考えました」と述べた彼ら。


「旅行者の約58%が体験型旅行に関心を持っている」という統計データを示しながら、時代のトレンドを捉えた提案を行った。

1泊2日の旅程で組まれたツアーは、初日に「謎解き農業体験」、2日目にサーフィン・SUP体験とサイクリング、長生村文化会館での「プラ寝たリウム」を行うというスケジュール。地域との交流会も盛り込むことで、継続的な関係形成も試みる。

このうち、「謎解き農業体験」は農業を絡めた謎解きをしながら村歩きを楽しむというコンテンツ。

「謎解きを取り入れることで、長生村にストーリー付けができ、“長生村ならでは”の魅力をつくり出せます。また、謎解きをしながら村を歩くことで、長生村の豊かな自然環境に触れる機会やイメージの向上につなげられます。さらに、ゲーム性を持たせた収穫体験によって、長生村の農業を身近に感じてもらえます」と、その狙いを語る。


宿泊付きツアーを組むには宿の存在が欠かせない。「スパ&リゾート九十九里 太陽の里」は、村内で数少ない大人数受け入れ可能なリゾート施設。スタッフの方の案内のもと、館内を見学した。

もうひとつ特徴的な「プラ寝たリウム」は、長生きの秘訣である質の良い睡眠をプラネタリウムと絡めて観光資源化するユニークなコンテンツだ。参加者は星空を鑑賞しながら癒しの睡眠を体験。「睡眠という新たな観光資源で長生村にインパクトを起こすことができる」とし、「地域のカフェに出張を依頼し、コーヒーや睡眠グッズの販売、さらには本の読み聞かせなども行うことで、会場である長生村文化会館の空きスペース活用にもつながります」と具体的なアイデアも紹介された。


長生村文化会館では、長生村職員の木島政人さんの案内で館内を見学。700人収容可能なホールやプラネタリウムを擁する立派な施設に圧倒されつつ、駐車場や2階のテラスに活用の可能性を感じた。

なお、ツアーの開催だけに留まらないのも本案の特徴であり、交流の第二段階として、地域住民とツアー体験者を巻き込んだ地域交流運動会を計画。さらに、ツアー参加者の「長生村ながいきフェスタ」への来訪にもつなげ、3段階による交流機会の創出を構想しており、「まずは『長生きしよう!ツアー』で長生村のことを知ってもらい、その後も地域住民と来訪者の交流の機会と、来訪者が関わる機会を設けることで、長期的な交流を生み出します」と述べた。

 

【食班】地域住民と一緒に農と食を囲む「青と星空 ながいきレストラン」

次に、「青と星空 ながいきレストラン」というタイトルでプレゼンを行ったのは「食班」のメンバーだ。


長生村の食の魅力を深掘りした食班の3人。得た情報を細かくメモに残すなど、真摯に取り組む姿が光っていた。

こちらの班は、フィールドワーク合宿の初日に漁業と農協の関係者、村内で蕎麦やアイガモの生産サポーターを募っているオーナーズクラブの担当者らに聞き取り調査を実施。しっかりと知識を蓄えた後、2日目は尼ヶ台総合公園を散策したほか、蜂蜜の生産する「HANAP」とネギ農家の平塚一耀さんのもとを訪れ、移住者でもある生産者から話を聞いた。


ネギ畑で話を伺った平塚一耀さんには、「むやみやたらにつながりをつくるのではなく、同じ思いを持った人同士でつながれることが大切」というアドバイスをもらい、企画を考えるヒントを得た。

彼らがフィールドワークを通じて感じた長生村の食の強みは、「一年じゅう作物が採れること」「海・山の幸と果物があること」「行政の農業支援が他県よりも強固なこと」「他にはない『ながいきブランド』があること」の4点。

対して課題に思ったのは、「使われていない農地が多いこと」「農業体験の機会がオーナーズクラブのみに限られること」「農家と消費者の接点がないこと」「尼ヶ台総合公園に空きスペースが生じていること」の4点で、そこから「食の強み、農家と消費者が直接つながれる規模感と環境はあるが、体験や人との接点に変換されていないこと」を感じたという。


フィールドワークでは体験班と一緒に一松海水浴場近くの「寿司重」を訪れ、新鮮な寿司と郷土料理のなめろうなど、地元の食を満喫。調べるだけでなく、食べることにも果敢に取り組んだ。

彼らが提案する「青と星空 ながいきレストラン」は、旬の食材を使ったレシピをもとに村内を巡り、収穫体験で採った食材を地域住民と調理して食べるという、若年層とファミリー層を狙った企画だ。

「地域の日常や食資源を体験として再編集します。そして農家や学生、JAの方々が受け入れ先となり、食・農業・地域文化を学べる仕組みを整え、継続的な運営につなげたい」と発言。


長生村のブランド力向上をゴールとする「青と星空 ながいきレストラン」。若年層には体験としての食を、ファミリー層には親子の食育・自然体験を届ける。

具体的には、村内に本レストラン用の専用農地を設置。加えて尼ヶ台総合公園と同園に隣接する公共調理施設「ながいき味工房」をメイン会場とし、雨天の際はハウス農家に協力を依頼することで、天候に左右されない実施を可能にする。

地元のレストランや農家から募った旬の食材のレシピからつくりたい料理を選び、レシピごとに設定されたコースに沿って食材を調達・収穫し、「ながいき味工房」で料理を楽しむというのが一日の流れ。

「レシピごとのマップを作成し、食材の産地を見える化することで、食べるだけでなく、地域を身近に感じてもらえるようにします」という工夫も。


「ながいき味工房」の存在が、来訪者と地元住民が一緒に料理をするレストランという発想につながった。

収穫を行う専用農地は、休閑地や貸農地を活用することで農家に負担をかけないようにしつつ、近くの農家と交流しながら作業のノウハウや作物の特徴を学ぶ。そして、「産地食材を地域の方と一緒に調理し、同じ食卓を囲むことで会話が自然と生まれ、地域との距離が縮まることを狙っています」とのこと。

なお、タイトルに「星空」と付いているのは、蜂蜜を生産している「HANAP」を見学した際に、移住者でもある店主の橋澤さん夫妻から「長生村に来た時、星空が綺麗だと思った」と聞いたことがきっかけ。1泊2日プランの夕食には星空観察を楽しみながらのBBQパーティーも盛り込むことにした。


ランチの後は村内のJAを散策して袋詰めイベントへの参加や、長生村ならではのおみやげをゲットするというお楽しみも。

InstagramとXを用いたSNS戦略、クラウドファンディングによる資金調達、一度きりの関係で終わらせないメールマーケティングなど、継続性を持たせるアイデアにも綿密さを感じさせた本班。最後は、「体験して終わりではなく、発信を通じて次につながる循環をつくり、後にツアー展開をしていくことで交流人口、さらには関係人口の創出と地域経済の好循環を目指していきます」と述べ、発表を終えた。

 

【新規イベント班】
村民みんなで地域活性化に挑む「GPSアート」

続いては「みんなで作ろう! GPSアート」というタイトルでプレゼンを行った「新規イベント班」の発表だ。


レンタカーを借りていた中、徒歩とサイクリングで体力を駆使して情報を集め、とにかく明るい姿が印象的だった新規イベント班のメンバー。

本班はフィールドワーク合宿の1日目に、村内にある15か所以上の神社仏閣を巡り、村の新たな魅力発掘を模索。2日目は尼ヶ台総合公園、農産物直売所の「コメール」などを自転車で巡った。初日の体験を踏まえて、2日目のスケジュールを当初の予定から大幅に変更するなど積極的な姿勢が目立った。


新しいイベントを考えるというゼロからのスタートの中、さまざまな場所に足を運び、アイデアになる種の獲得に努めた。

彼らが長生村を初めて訪れて感じたのは、「自然豊かで緑に囲まれている」「全体的に地形が平らである」「路肩に草が多く自転車で走りづらい」「歩行者、自転車利用者が少ない」という4つの点だった。これらの気づきに、フットパス(地域にあるありのままの風景を楽しみながら歩くこと)の考え方を応用。

「長生村の方々は車を主な移動手段にしているが、道を歩いたり自転車に乗ったりすることで、地元に愛着心や誇りを持てるようになるのでは?」という仮説を立てた。


1日目の午後は「かき氷cafe えびのや氷菓」でフォトジェニックなかき氷を体験。GPSアートの立ち寄りポイントになりそうなスポットを見つけた。

GPSアートとは、専用のアプリを使って移動経路から地図上に文字や絵を描くという表現方法で、本案では徒歩や自転車で長生村を巡る一日イベントを企画。参加者のターゲットを村外からの来訪者ではなく村の住民とし、地域の健康増進も目的に含めたのが本案の特徴だ。


GPSアートは複数人でひとつのアートをつくり上げることも可能。この日は現実的なルートの提案としてハートの形、バラの形、「チョウセイ」の文字も紹介された。

長生村でGPSアートイベントを行う具体案のひとつが、「路肩に草が多い」という気づきを逆手に取った「草刈り×GPSアート」のイベント。

「草刈り自体をイベント化することで、次回のアート制作に向けた環境整備や、別のサイクリングイベントの活用にもつなげていけるのでは」という発想だ。

もうひとつの案は、「地形が平らで走りやすいが、目印になる建物が少なく迷うことが多かった」という感想をきっかけに生まれた「クイズラリー×GPSアート」。

「道の看板やマンホールにQRコードを設置し、長生村の歴史や地理、地形に関するクイズに答えて次のチェックポイントに進めるようにすることで、村を巡ること自体を楽しみながらアートを描くことができます」というアイデアを披露。「このようにGPSアートは汎用性が高いので、複数の企画と併用することで、繰り返しイベントを開催することができます」と魅力をプッシュした。


フィールドワークの際は20キロ、11月の実験では40キロを自転車で走行。自分たちが実際に汗をかいた様子を反映することで、プレゼンに説得力を持たせた。

なお、本班は昨年11月上旬に自主的に再び長生村を訪れ、村が用意した自転車を使ってGPSアートで地図上に「長生」の文字を描く実験を試みた。

発表ではその際の感想も紹介され、「とてつもない達成感が得られた」という喜びの一方で、「走行距離が長く、同じ景色が続くと体力面、精神面に負荷がかかりやすい」「漢字を正確に表現しようとすると同じ道を引き返す必要があり、効率の悪さが生じた」といった難しさも見つかったと言い、「参加者の体力や集中力に配慮して各部位の調整や簡略化をするなど、自転車でも無理なく楽しめるGPSアートの設計を図る必要があると感じました」と述べた。


2日目の午後には、既存イベント班と「長生ファームランド」を訪れ、先述の古川亮太さんの案内を受けながら、農地を借りている方たちとも交流を図った。

GPSアートという目新しい企画は、高年齢層も多かった来場者の目にも斬新に映ったようで、質疑応答の場面では「GPSアートはどれくらい複雑なものが描けるのか」「実際にイベントをやるとして、開催時間はどの程度の長さが適切か」など一歩踏み込んだ質問が寄せられていた。

 

【既存イベント班】
「長生村ながいきフェスタ」の活性化

そして、既存イベント班は「ながいきフェスタを活性化させようプロジェクト」というタイトルでプレゼンを実施。


「長生村ながいきフェスタ」の会場である尼ヶ台総合公園で元気なポーズを取ってくれた既存イベント班のメンバー。去年のフェスタでも大活躍!

例年11月初旬に行われる村の一大イベント「長生村ながいきフェスタ」のアップデート案に挑んだ本班は、フィールドワーク合宿の1日目にながいきフェスタの実行委員会担当者らに聞き取り調査を実施。2日目は会場である尼ヶ台総合公園を散策したほか、先述の「HANAP」など、ながいきフェスタにキッチンカーを出している店舗を巡った。実際の出店者の声に触れる中で、多くの課題が見えてきたようだ。


「HANAP」では店主の橋澤義憲さんから、「秋開催だと春夏に収穫を迎える作物の農家さんは参加しづらいので、長生村全体で盛り上げるムードをつくりづらいかもしれない」と聞き、開催時期にも改善の余地があると感じた。

昨年11月8日に開催された「長生村ながいきフェスタ」にも、既存イベント班のメンバーがボランティアとして参加し、運営側・来場者側の双方の視点から実際のイベント内容を調査。運営側では風船配りやフォトスポットの運営をサポートし、長生村のイメージキャラクター「太陽くん」と一緒に来場者を迎えるという大役も担った。


ダンスパフォーマンス、カラオケバトル、ハンドメイドワークショップなど、家族で楽しめるコンテンツが充実していた昨年11月の「長生村ながいきフェスタ」。1万1500人が来場し、服部ゼミの学生も運営を手伝った。

その経験も踏まえて、現状の改善点として挙げたのは、「運営側の人手不足」「運営・来場ともに10代・20代の参加が少ない」「座れる場所が少なく長時間滞在がしづらい」「鑑賞コンテンツの数に比べて体験コンテンツが少ない」という4点だ。

また、現地での体験を通じて、コンセプトにも大きな変更があったという。

「当初は『長生村ながいきフェスタ』を通じて村を知ってもらい、外部からの集客につなげることが主な目的と考えていました。しかし、実際の来場者層を踏まえると、継続的に訪れているファミリー層やシニア層に満足してもらえることが重要だと考えるようになりました」と明かした。


当初あったコンセプトを変更し、地域住民が安心して楽しめる雰囲気作りを重視。来場者一人ひとりの満足度を高めることで、イベント全体の評価向上だけでなく、村全体の活気や一体感をつくることを目的とした。

課題に対する具体的な改善案には、「抽選会の効率化(省人化・景品の費用抑制)」「参加型コンテンツの充実」「キャラクターなりきり体験」「SNSの活用」の4つが挙げられた。

このうち「参加型コンテンツの充実」については、乳児のいる親子向けの「ハイハイレース」、小学生向けの「謎解きゲーム」、高齢者向けの「競歩大会」と、各年代が主体的に楽しめるイベントを多数考案。特に「謎解きゲーム」に関しては、「会場内を回遊しながら参加できる仕組みにすることで、導線改善や滞在時間の延長が期待できる」とし、民間企業が行う成功事例が紹介された。


フィールドワークで初めて訪れた尼ヶ台総合公園の印象は「意外とコンパクトだった」そう。その空間を最大限活かすため、回遊性向上の面にも力を注いだ。

一方、「太陽くんが予想以上に人気だった」というのも、実際にフェスタへ参加して強く実感したことだったという。そこから着想を得たのが「キャラクターなりきり体験」だ。フォトブースで太陽くんの着ぐるみキャップを貸し出し、リアルな太陽くんとの写真撮影の機会を設けることで、低予算での新規ファン獲得を図るとともに、SNSでの拡散も狙う。

「SNSの活用」については、「太陽くんを入り口に『ながいきフェスタ』、ひいては長生村への興味喚起につなげたい」と語った。

4班による発表は1時間半を超え、各班の発表後には観衆から大きな拍手が送られた。長生村にとっても学生にとっても、実りの多い時間になったようだ。

 

来年はアイデアを形にするフェーズへ

学生たちの発表後には、担当教員の服部泰先生が登壇し、全体の総括を行った。

服部先生は冒頭、「今回はどのチームの中にも関係人口、交流人口の創出が狙いにあったと感じました」と切り出した。次に昨年10月のフィールドワークのみならず、翌月には「長生村ながいきフェスタ」に参加、さらに3月に開催予定の「ながいきむらリレーマラソン大会」にも参加予定というゼミ生たちと長生村との間に生まれた継続的なつながりに触れ、「千葉県出身者が一人もいない中で、まさに学生たちが長生村の関係人口になり始めています」とコメント。その上で「今回の発表を聞いてお分かりいただけたと思いますが、関係人口を増やすのと同時に村内の関係をもっともっとつくっていく必要があると考える学生が多くいました」と話した。


2年目の活動に感慨を述べた服部先生。観光心理学の見地からイベントの回遊性を高める手法についてのミニ講義も行われた。

また、発表を評する中で「新奇性」(新しいだけではなく珍しさや希少性を含んだ性質を表す心理学用語)という言葉を共通のキーワードに用い、このうち新規イベント班の案には「長生村特有の平地の利を活かしてGPSアートを行うところに新奇性を見出せるのでは」と解説を加えた。さらには昨年からの2年間の取り組みを通じて「若い世代への訴求にはSNSの活用とご当地キャラクターの活用が極めて重要であることに改めて気づかされた」と話し、「次は学生たちが力を発揮しやすいこれらに関する具体的なアクションも考えていきたい」と来年度に向けた目標も語られた。


学生たちの発表を真剣な眼差しで見つめていた田中副村長。食班の発表の質疑応答で「尼ヶ台総合公園を訪れた時、最初にどう思いましたか?」と尋ねる場面も。

続いて長生村を代表して挨拶に立った田中副村長は、著しい人口減少に直面する同村の現状に触れつつ、「人口が減り続ける中で村を活気づけるためには、やはり関係人口や交流人口を増やしていくことが何よりも重要です」と発言。

そして、体験班の案に「プラネタリウムを寝床にするなど、皆さんの発表の中には私たちが思い付かないような発想がありました」と感謝を述べ、さらに新規イベント班の案には、「自転車を活用すれば村が健康になるという利点もある反面、道路が狭い、道に草が生えていて走れないといった課題も多く、これらに取り組みながら素晴らしい村づくりをしていきたい」と話し、行政へのメッセージも受け取った様子だった。


最後は長生村のイニシャル「C」の文字をつくったポーズで記念撮影!

報告会後、観衆がいなくなった会場には4か月間にわたるプロジェクトを終えて緊張から解放された学生たちの笑顔が。充実感に満ちた空気の中、今回のプロジェクトで長生村側の調整役を担った企画財政課の木島政人さんが労いの言葉を述べ、「次年度は、皆さんが考えてくださったことを実現する段階に持っていきたい。どのくらい実現できるかは分かりませんが、一歩ずつ前に進めていきたいです」と力強く語った。その言葉は、今後も両者にさらなるつながりが生まれていくことを予感させるものだった。

取材・文:鈴木 翔 撮影:内田麻美

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