進化の止まらないリノベタウン韮崎
「韮崎駅前商店街 空き店舗ツアー」開催レポート

2025年10月25日(土)、リノベタウンとして熱視線の集まる山梨県韮崎市(にらさきし)で、リノベーション店舗と空き店舗を巡る人気ツアーが今年も開催されました。

テーマは『移住×起業×リノベーション』。

このツアーでしか見ることのできない空き店舗の内見や既に韮崎に移住・起業し、事業を行っている先輩起業者のリノベーション店舗でのオープントークなど、県内外から訪れた21名の参加者が進化を続ける韮崎駅前商店街のまち歩きを楽しみました。

 

韮崎市ってどんなまち?

韮崎市は、山梨県の北西部、甲府盆地の左上に位置する人口約3万人弱のコンパクトシティ。

2018年にまちのシンボル的存在として親しまれた名物ビル「アメリカヤ」がリノベーションによって復活を遂げて以降、その周囲に空き店舗を活用したショップやカフェのオープンが相次ぎ、リノベタウンとして知られるようになりました。


集合場所のアメリカヤに集まる参加者たち

八ヶ岳や南アルプスなど、美しい山々に囲まれながらも土地がひらけているため、日照時間がとても長いのも韮崎市の特徴のひとつ。野菜や果実の実りが豊かで、一年を通して豊かな自然の恵みとともに暮らすことができます。新宿から特急電車で1時間半という都内からのアクセスの良さも魅力です。

 

空き店舗ツアースタート!


参加者には1日のタイムスケジュールが配布された

同ツアーは、一昨年の開催時にはマッチング成功2件、昨年開催時にはマッチング成功5件という実績を持つ人気イベント。今年の参加者は県内外から総勢21名!「自分のお店を持ちたい」「新しい土地で、新しい生活をしたい」と、参加者たちは午前10時から夕方3時まで、19の空き店舗・リノベーション店舗を巡ります。

最初に訪れたのは、韮崎駅から歩いて1分ほどの元食料品屋の空き店舗。広い店舗内でスタッフ紹介や1日のスケジュールを確認し、そのまま店舗を見学。1階2階がある駅近の広い店舗に参加者たちは、隅々まで確認しながらたくさんの質問をしていました。



元食料品店だった空き店舗でオープニングセレモニーを実施。その後、参加者は自由に建物内を見学

続いて訪れたのは、韮崎駅から歩いて徒歩5分に位置する元豆腐屋さんの空き店舗。昨年惜しまれつつも店じまいをしたばかりというテナントです。

「インターネットの不動産サイトなどには掲載していない空き家や空き店舗の情報も、このツアーではご紹介しているんですよ」と韮崎市商工会の仲澤さん。東京から訪れた参加者は、首都圏では考えられない家賃に目を丸くしていました。


元豆腐屋の空き店舗に想像を膨らます参加者たち

続いて向かったのは駅前の角地「チャンスセンター」。かつては宝くじ売り場だったという1階のスペースで、女性オーナーが雑貨店・イベント&ワークショップを運営しています。

「韮崎商店街活性化の取り組みを聞いたとき、『自分にも何か貢献できることはないか』と空き店舗でショップをオープンすることにしました。駅前から商店街につながる角地という立地も気に入っています。私のように、ここで何かを始めたいという方がいらっしゃれば、スペースをお貸しすることを検討しています」(チャンスセンター・オーナー)


チャンスセンターのオーナーと交流

続いて向かったのは、毎年多くの参加者が強い興味を示すアメリカヤ横丁。ここは、今にも取り壊されそうだった築70年の長屋を、アメリカヤのリノベーションでもお馴染みの「イロハクラフト」がリノベーションで復活させた“古きよき昭和”が残る店舗群。今年の9月に6周年を迎え、地域に愛される場所となっています。


リノベーションされた長屋が並ぶアメリカヤへ

横丁のすぐ隣には、今年に入って移住者のオーナーがオープンさせた眞壁整体院が入る元歯医者の建物があります。「駅近であり、さらにはアメリカヤ横丁のすぐ隣ということで、カフェなどの飲食店なら相乗効果も望めるだろう」とオーナーは立地の良さをアピール。ツアー開始から1時間。参加者はキラキラした眼差しで、建物を吟味していました。


移住・起業の先輩で空き店舗のオーナーでもある眞壁さんが案内してくれた

続いては、鉄筋コンクリート造2階建ての「マルハクビル」を見学。1階にはスナックや焼き鳥のお店など5つの飲食店が入居しており、今回の紹介は建物2階の部分。事務所などの用途が適しているという説明を聞きながら、参加者たちは、鉄窓や鉄扉など、ところどころに残された昭和レトロなディテールをカメラに収めていました。


昭和レトロな内装が魅力の空き店舗マルハクビル

ツアー隊は、第一回目の「空き店舗ツアー」で町を見学して移住を決めたという先輩オーナーがPEI COFFEEの見学へ。店舗改装時の話や韮崎のまちについて聞かせてくれるオーナーの話に耳を傾けたあと、美味しい雰囲気に誘われてドリンクをテイクアウトする参加者が続出。こうした“寄り道”もこのツアーの醍醐味です。


リノベーション店舗が並ぶ商店街の中心にあるPEI COFFEE。先輩移住・起業者のオーナーとの交流も

 

この後も、先輩移住者がオープンした人気のパフェ店parfait tokidokiや、昨年の空き店舗ツアーで紹介し、マッチング成立により今年5月にオープンした登山用品店NEXT MOUNTAINを見学。それぞれ個性があり、おしゃれなお店に向けられた参加者たちの憧れの眼差しが印象的でした。


昨年の空き店舗ツアーをきっかけにオープンしたNEXT MOUNTAIN

その後、元文具店で最近では映画撮影のロケ地としても使用された「五味文具店」、元アパレル店でらせん階段が印象的な「深澤ビル」「クスリのサイグサ2階」などを見学し、「空き店舗ツアー」からの縁で移住&起業を果たしたオーナーの店SEI OTTOで昼食。午前中だけで14の空き店舗・リノベーション店舗を巡りました。


五味文具店


深澤ビル

今回は、山梨県内からの参加も多め。「韮崎市に移住して空き店舗などをリノベーションして自分のお店を持つ方が増えているという話を聞き、実際を見てみたくなった」「こんなにたくさんの空き店舗を一気に見られる機会はないので、情報収集に」など、参加者のコメントからは、まちの注目度の高さとツアーの効率性の高さが伺えました。


リノベーション店舗で昼食。ビジネスプランを語り合いながら交流

おいしいピザをみんなで食べたら午後の部へ。午後は駐車場1台分付の「滝田ビル」や空き店舗をリノベーションして今年オープンした本屋さん「YOMU」、今回のツアーで初の紹介となる広めの空間「旧ハヤシヤ」「旧カフェテラス凡」と、おなじみの大空間「旧サスヨビル」へ。50mの長い空間が特徴の「旧サスヨビル」には、1階のもっとも通り側に2年前に先輩移住者がオープンした石田西洋菓子店と、オープン仕立ての角打ち酒場ウラクラが入居し、複合施設としての歩みをはじめています。


滝田ビル2階


空き店舗をリノベーションして今年オープンした本屋


旧ハヤシヤ


蔵が並ぶ旧サスヨ

まち歩きのラストは一昨年の「空き店舗ツアー」で紹介した空間にできたショップ清水金七商店へ寄り道。簡単な買い物を済ませ、トークイベントが行われるアメリカヤへと移動しました。


リノベーション店舗でトークイベント前にほっと一息

 

「アメリカヤトーク」で、韮崎市のサポート力に触れる

全19店舗。すべての見学を終えた参加者たちは、アメリカヤに移動。屋上に上がって風景を堪能したら、普段はフリースペースとして開放されている5階で「アメリカヤ・トーク」がはじまります。

イロハクラフト代表・千葉さん

「最初は、韮崎市のシンボルとして親しまれた『アメリカヤ』をリノベーションで復活させたいという思いからでした。ご縁があってオーナーさんと繋がることができ、2018年にリノベーションをさせていただくと、自分が想像していた以上にたくさんの人に喜んでもらうことができ、『こんなに喜んでもらえるなら…』と展開したのが『アメリカヤ横丁』でした。それからは、特に2020年のコロナ禍以降、韮崎市にどんどん移住希望者が増え、空き店舗が目立っていた駅前商店街に次々と新しいお店が増え、まち全体がずいぶん活気づいてきたと感じています。こうしたまちの活性化は、僕らが単体でできるものではありません。市役所と商工会、そして僕らのような民間企業が三位一体となって活動していることにより、進んできたものだと考えています。リノベーションは、僕のライフワーク。エリアリノベーションという考え方のもと、みなさんと韮崎のまちを盛り上げて行けたらと思っています」

ツアーの途中でも話を聞かせてくれた眞壁さん。韮崎愛を語ります。

「韮崎市との出会いは偶然でした。もともとは都内で暮らしていましたが、子どものために生活環境を変えることを検討していて、移住相談所へ。韮崎市にはじめて訪れた日に、もう『ここに住む』と直感しました。それからアポイントもなしで、イロハクラフトさんへ。突然の訪問にも関わらず、時間を調整してくださり、丁寧に対応してくださったのは忘れられないですね。それからは今回のツアーのように、インターネットなど、一般公開されていない物件を紹介いただいたり、商工会の方と繋いでいただき開業に向けてサポートをいただいたり。肝心の暮らしはというと、子どもたちものびのびと、家族の時間もしっかり作れるようになり、それは豊かになりました。決してそれまでの生活が嫌だったわけではありませんが、もともと100点だった家族との時間が、今や150点。ぞれは、韮崎市という環境がもたらしてくれたものだと思います」

そのほかにも、まちづくり会社「ニラサキヤ」が描く韮崎市のビジョン、韮崎市役所韮崎市商工会から、移住後の暮らしと起業に関わる支援や補助金など、移住×企業にまつわる韮崎市のサポート体制について具体的な説明をたっぷり1時間! 最後まで真剣にメモを取る参加者たちの様子が見られました。

 

ツアーを終えて:アメリカヤ横丁で乾杯!

秋の恒例行事となった韮崎市の空き店舗ツアー。毎年募集定員を大きく上回る人気のツアーは今回、応募の際にビジネスプランを書いてもらうという新たな試みを実施。具体的なビジョンを持ち合わせているからこそ、真剣に内見し、建物や条件を吟味する参加者の前向きな姿が印象に残りました。

参加者からは以下のような声が聞かれました。

「韮崎市はずっと気になっていたエリア。友人から今回のツアーのことを教えてもらい、カフェ兼雑貨店をオープンしたいという自分の夢の第一歩として参加しました」

「まちのサポート体制の手厚さは噂に聞いていました。実際にツアーに参加してみて、韮崎市の行政のアツさ(熱量の高さ)を感じられました」

「移住してお店をオープンした人たちがみんなとても活き活きとしていて素敵でした。資金のことなど、これから具体的に相談したいと思いました」

トーク終了後はアメリカヤ横丁で乾杯!主催者も参加者も一緒に気軽な会話を楽しみ、韮崎市で時間を共有するなごやかな交流会となりました。

こうした人と人の繋がりやご縁、そして市役所の観光課や移住支援センター、商工会、地元企業など、連携のとれた移住支援・起業支援体制がこのまちの何よりの強み。これからも多くの移住希望者を魅了し続けるのでしょう。


【韮崎市の支援制度については下記をご覧ください】

⚫︎韮崎市の補助事業
https://www.city.nirasaki.lg.jp/soshikiichiran/kodomokosodateka/kosodateguide/okane/kosodateokane/8923.html

⚫︎韮崎市起業支援補助金
https://www.city.nirasaki.lg.jp/soshikiichiran/shoukoukankouka/shokoroseitanto/7/1670.html

⚫︎にらさき移住定住ポータルサイト
http://nirasaki-iju.com/

 

【お問い合せ先】

韮崎市商工会 経営支援課

TEL:0551-22-2204
Mail:info@nirasaki.or.jp
https://nirasaki.or.jp/

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