「雪はどれくらい積もるの?」「毎日雪かきするの?」
会津地方の移住コーディネーターに聞く、福島の雪暮らし

「福島の冬は、寒く雪深い」

福島県の暮らしに対して、そんな漠然としたイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。特に雪深い地域で暮らしたことがない方にとっては、実際の暮らしの様子がつかみにくいかもしれません。

今回は県内でも特に降雪量が多い会津・南会津エリアの移住コーディネーターに、「雪はどれくらい積もるの?」「毎日雪かきするの?」などの素朴な疑問から、効果的な防寒対策や冬ならではの楽しみ方まで、“暮らしのリアル”を教えていただきました!

会津エリア:会津若松市、喜多方市、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町
南会津エリア:下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町

雪国の暮らしの実際


雪が降った朝 歩道の雪(会津若松市)

一口に「雪国」と言っても、その実情はさまざま。同じ会津地方の中でも会津エリアと南会津エリアでは雪の降り方も積雪量も異なります。

会津若松市在住の会津地域の移住コーディネーターいわく、「会津若松市や喜多方市などを含む会津盆地では、一晩に降る雪の量は多くても30〜40㎝程度。5㎝程の雪なら積もってもすぐ溶けてしまうので、あまり気になりません。奥会津など山間部に近い地域では、積雪量は多いです。」とのこと。一方、南会津町在住の南会津地域の移住コーディネーターは「積雪量は平均60㎝ほどでしょうか。標高が高い地域や国内有数の豪雪地帯として知られる只見町では、その倍くらい積もります」と話します。

降雪量は地理的な要因に加え、その日の風向きや気温差によっても変化し、隣り合う市町村間ですら異なることもしばしば。さらにその年の気象条件によって雪が多い年と少ない年があり、直近では2022年の降雪量は多かったものの、2023年は比較的少なかったそうです。


雪が降った日の午後 道路の雪(会津若松市)

会津・南会津エリアとも、例年12月の後半くらいから2月の後半くらいまでが積雪シーズン。3月に入って最低気温が氷点下から1桁台になると多少降っても溶けて積もりづらくなり、ようやく春の訪れが感じられるようになります。

 

どうする?雪国の三大不安要素

雪国に移住するにあたり、「雪かき」「防寒」「雪道運転」は三大不安要素。

それぞれどのように対策されているのでしょうか?

雪かき

「雪かき」の頻度はその年の気象条件によって異なりますが、2023年1~2月に限って言えば「数回した程度」(会津エリア)「15回程度」(南会津エリア)で、毎日はしなくても大丈夫であったそうです。

「雪国」というと朝から晩まで雪が降り続き、毎日雪かきをして過ごすようなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、会津・南会津エリアだからといってそこまで心配する必要はなさそうです。

会津エリア「私は雪かきをする日は5時くらいに起きて、家の玄関前や道路などを中心に30分程度雪かきします。娘の登校準備もあるので、雪が降った次の日は1時間ほど早く起きています」

南会津エリア「私はだいたい4時半から始めて5時くらいまで、やはり30分程度かけて作業しています。夜明け前に作業する理由は、夜間に除雪車がよけた雪が家の前にたまるためです。日光が当たると溶けて水分を含んで重くなるので、早めに片付けた方が体に掛かる負担が少なく済みます。南会津エリアの中でも特に雪深い地域では、一般家庭でも除雪機を使用することがあります」

両地域とも早朝から雪かきをしますが、意外にもかかる時間は30分ほど。短時間で効率良く終わらせているようです。また雪かきをする上で大切なポイントが「自宅前だけではなく、できるだけ隣の家の前まできれいにすること」。雪かきひとつとっても“お互いさま”の精神で行うことで、ご近所とも良い関係が築けるのだそうです。

「あとは近所のゴミ収集所や通学路などを、使う人のことを考えてちょこっと掃除をしたり片付けたりします。地域の人たちの心遣いを感じられる風景があちらこちらにあるので、冬はある意味人の温かさを一番感じやすい季節かもしれません。雪かきを好きになるコツは、達成感を得られるように自分なりに工夫することです。ビフォーアフターを写真に撮ってSNSにアップしている方もいらっしゃいますね」

敷地面積が広い家に住むということは、その分除雪しなければならない面積も増えるということ。体力的に心配な方や一人でできるか不安な方は、まずは除雪作業の負担が少ないアパートやマンションに住むのがおすすめです。また、雪が落ちてくる可能性があるので屋根の周りには要注意。会津地方を移住先に選ぶなら「どの程度除雪作業が必要な地域なのか」を事前に調べた上で住まいを決める必要がありそうです。

防寒対策

降雪量が多い地域ならでは防寒対策には、どのようなものがあるのでしょうか?

会津エリア「気密性が高い住宅であれば、都市部とさほど変わらずに暮らせます。ただエアコンだけだとやはり寒いので、こたつを準備しておいた方が安心です。また、こたつの下にアルミ製のシートを敷いて熱が逃げないようにするとより暖かく過ごせます」。

南会津エリア「この地域の住宅では、『温風ヒーター省エネダクト』というファンヒーターから出る温風をこたつに取り込む器具もよく使われていて、ホームセンターなどで簡単に手に入ります。一台あればこたつも部屋の中も暖かくなるので一石二鳥。省エネにもつながります」

また、家の造りについても玄関が雪に埋もれてしまわぬよう地面との間に段差を付けたり、防風室を設けたり、屋根から落ちた雪で窓が割れないようにするために雪囲いをするなど、雪深い地域ならではの対策も見られます。外を出歩く際は、滑らないように冬用の長靴も必須の装備ということです。

防風室:冷気・強風対策のため、玄関ドアの外側に設けられるガラス張りの小部屋のこと。

こたつやストーブなど一般的な防寒器具を準備した上で、地域の方々と交流しながら暮らしの知恵を学んでいくと、より豊かに暮らすことができそうです。

雪道運転

車移動がメインの会津地方では雪道の運転も発生します。主要道路は除雪車や消雪装置等によって除雪されるとは言え、路面凍結も起こり得ます。雪道運転の経験のない人にとっては大きなハードルとなりそうですが、事前にできる対策はあるのでしょうか?

消雪装置:道路に埋め込んだパイプから路面に地下水を散布し、除雪・融雪・路面凍結防止する装置のこと。

南会津エリア「スタッドレスタイヤは必須です。車種もできれば2WDではなく4WDだと安心ですね。実際に他地域と比べて4WDに乗っている方の割合が多いです。急ブレーキ、急ハンドル、急加速をしないという『雪道の三原則』を守れば重大事故は防げると思います」

会津エリア「車のワイパーが凍ってフロントガラスにくっつくのを防ぐため、停車中は立てておいたり、外出先で困らないように除雪道具(スノーブラシや小さめのスノースコップなど) を車に積んでおいたりしています。積雪で路面がすべりやすくなることで渋滞が発生することもあるのですが、もしそれが理由で出勤が遅れたとしても、たぶん会津の人は何も言いません(笑)。雪道で焦ってもどうしようもないと、みんな分かっているからではないでしょうか」

雪国で暮らしていれば、誰しも一度はスリップしたり、ホワイトアウトで道が見えなくなるなどの経験をしているもの。もちろん、危険を避けるに越したことはないですが、実際に経験することで運転のコツがつかめたり、路面状態を見て的確な判断ができたりするようになります。つまり、一番の雪道対策は「慣れること!」。

南会津エリア「スリップするとどうなるか、どういう場所が滑りやすいかを知るために、危険のない場所で練習してみるのもいいと思います」

ちなみに会津地方の主要道路には必ず除雪車が入るため、走行に差し支えないことがほとんど。スーパーなどの商業施設の駐車場も消雪パイプ等で雪を溶かすため、冬場の買い物にも不便はないそうです!

雪暮らしを楽しむコツ

雪暮らしにおいて、さまざまな道具や心構えが必要だということは理解できても、「やはり大変そう」「自分には無理……」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな方のためにちょっとほっこりするエピソードをご紹介します。

南会津エリア「冬は雪かきがあって早起きして体を動かすからか、逆に健康になりますよ。“ジョセササイズ(除雪+エクササイズの造語)”なんて言葉もあるくらいです(笑)」

会津エリア「雪かきしていると普段は話さないようなご近所の方とも何気ない会話ができたりするんですよね。『雪降りましたね』『だからねー(会津弁でそうですね、の意味)』みたいな。私はそういう会話が好きで、コミュニケーションが自然と生まれやすい場なのかなという気がしています」

「凍み餅」や「凍み大根」を始めとする保存食や、からむし織りの雪ざらし、編み組細工などの伝統、雪まつりなどのイベントも、雪深い地域だからこそ生まれた文化です。また、会津・南会津エリアにはパウダースノーが楽しめるスキー場が多数あるため、ウィンタースポーツを楽しみたい人にとってはまさに天国のような環境です。何より、見渡す限り一面の銀世界が広がる様子は、思わず見とれてしまうほど美しいのだとか。

「都会では雪が降ると交通機関が麻痺するなどして大騒ぎになりますが、会津では大雪が降ると逆にのんびりした空気になります。アポイントがあっても『今日は来なくていいよ』と言われたり。雪国はそういう風土があるので無理はしないんです」

雪が降ったら焦らず心に余裕を持つ。そして、その時にしかできない楽しみを見つける。そうして大変なことも逆転の発想で楽しんでしまう。それが雪と上手に付き合うコツかもしれません。

福島の雪暮らしを楽しもう!

 

今回お話を伺った会津・南会津エリアの移住コーディネーターによると「移住してきたけれど雪が理由で転出してしまった」という方はこれまで一人もいないのだそう。最初はいろいろと相談に乗っていたものの、暮らしていくうちに慣れていき、今では地元民以上に満喫している方も多いと言います。

会津地方の暮らしに興味が湧いたら、雪深い時期に開催される移住希望者向けの暮らし体験イベントに参加してみるのもおすすめです。「百聞は一見に如かず」と言いますが、実際に訪れて体験してみると新たな発見があるかもしれません。大変なことも楽しいことも、どちらもあるのが雪暮らしの醍醐味。ぜひ福島で、新しい暮らしを始めてみませんか?

                   

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