藍を育て、自分たちの色をつくる
2015年4月にニューヨークにアトリエを開設し、躍進する藍染め職人グループ「BUAISOU」。
徳島県の地域おこし協力隊を経て、いまに至る彼らに、その思いを聞いた。
種をまき、育てて、染める 色を生み出す現場
徳島県を流れる吉野川は、四国三郎の異名をもつ日本三大暴れ川のひとつ。吉野川は氾濫を繰り返して肥沃な土地をつくり、
日本最大の藍作地帯を形成して、この地に莫大な財をもたらした。
しかし、安価な化学染料が出まわるようになると、
藍を栽培し、藍染めの原料「すくも」をつくる「藍師」も減少。
いまでは5軒のみとなったが、かつての徳島の藍を「本藍」、
そのほかを「地藍」といって区別したほどの高い品質は変わっていない。
徳島県産のすくもはシェアの7〜8割を占め、藍染めを志す人にとってここは源流ともいえる場所だ。
渡邉健太さんと楮覚郎さんは、藍染めに魅せられ、地域おこし協力隊としてこの地にやってきた。
2012年に「BUAISOU」を立ち上げ、徳島県上板町を拠点に、現在は結城研さん、三浦佑也さんを加えた4人で活動している。
「BUAISOU」は藍の栽培から藍染めの原料となるすくもづくり、藍染め作品の製造販売までを行っている。
すくもに木灰汁、ふすま、石灰のみを混ぜて発酵させる伝統的な「地獄建て」で仕込み、化学薬品などは一切使わず、染めると色移りしないという特徴をもつ。
藍の栽培は3月から4月にかけて種をまき、7月と8月に刈り取る。
収穫した藍は、裁断機にかけて天日干しし、その後、十分に乾燥させた藍を「寝床」といわれる作業場で、
水をかけながら発酵させる「寝せ込み」へ。
定期的に水をかけ、混ぜ合わせる作業を繰り返すうち、発酵が進み、染料のもととなるすくもが完成する。
この「BUAISOU」の一年は、バンダナにもデザイン化され、ホームページには動画もあるので、
ぜひ見てほしい。http://www.buaisou-i.com/
文:飛田久美子 写真:千葉大輔
全文は本誌(vol.13 2015年夏号)に掲載
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