地元住民のもてなしの心を感じながら歴史と文化の残る昭和レトロな町を歩く
三重県の中ほどに位置し、伊勢湾に面する三重県鳥羽市。「鳥羽の台所」と呼ばれた中心市街地でまちおこしを行う住民とふれあい、その暮らしを体験するツアーに密着。
(文:家田美央 写真:松原 豊)
昭和レトロな商いの町で住民のもてなしに心和む
かつて「鳥羽の台所」と呼ばれ、現在は住民主体のまちおこし活動が行われている鳥羽なかまちを体験できるツアーが開催された。
当日は県内外から9名の参加者が集合。活動拠点である「大庄屋かどや」で地域の説明やまちおこし活動の紹介を聞いたのち、まちあるきがスタート。
地域の氏神である赤崎神社を参拝し、歴史ある建物を見たり、陶芸・写経・指文字の体験、鳥羽なかまち会メンバーによる手づくりランチなどを楽しんだ。また、鳥羽市なかまちにある空き家見学など、移住定住に向けた具体的な取り組みも体験。住民のあたたかなもてなしの心にふれた一日となった。
<オリエンテーション>
大庄屋かどやにて、鳥羽市による移住定住政策の説明や鳥羽なかまちの特徴やまちおこし活動を紹介。
平成28年度には移住者受け入れのための専門部署「移住・定住係」が市役所内に開設され、鳥羽なかまちへの移住者の促進や鳥羽なかまち会の活動を行政がバックアップ。
市民と行政が手を取り合い、地域への移住定住を進めていることをあらためて印象づけた。
<陶芸体験>
鳥羽なかまち会会員の村上光男さんが主催する光和窯にて陶芸体験。手動ろくろを使って茶碗やマグカップなどの成形作業を楽しんだ。村上さん自身が30年ほど前にここへ移住した先輩移住者であり、実際に暮らしてみた体験談などを交えながら、終始なごやかな雰囲気で行われた。
(村上さん)「最初からあまりよそ者扱いされず受け入れられ暮らしやすいまちです。鳥羽の人は食材などいろんなものをくれたのもありがたい(笑)」
<まちあるき>
鳥羽なかまち会メンバーの案内でまちあるき。日本一狭い遮断機のある踏切や、かつて味噌蔵だった煙突のある家、間口の狭い昔ながらの鳥羽の建家、住民に愛される八百屋などをたどり、まちの歴史と文化を実感。
<写経・指文字体験>
午後からは2組に分かれ、鳥羽藩城主内藤家の菩提寺である西念寺での写経体験や、アトリエ&カフェ・プリンクMにて指文字体験を行った。どちらも鳥羽なかまち会メンバーが主催。アトリエ&カフェ・プリンクMの遠藤さんは筆記具代わりに指を使う「指文字」アーティスト。指文字体験では自分の好きな文字を和紙へとしたためる。また、西念寺では住職の筧さんの指導の下、浄土宗をひらいた法然上人の遺言とされる「一枚起請文」を心静かに書き写す。どちらの体験も真剣に言葉と向かい合う時間となった。
<空き家見学>
- 鳥羽市の空き家バンクに登録されている空き家を見学。実際に家の中へ入り、間取りや建物の状態を目で見て確認し、家賃などの条件の説明を受けた。このあたりの家屋は壁を隔てて家々が隣り合う伝統的な鳥羽の建家となっている。
<大庄屋かどや 見学>
鳥羽なかまちの交流拠点でまちおこしの活動拠点である大庄屋かどやを見学。
江戸時代後期に建築された伝統的な日本建築で、2006年に登録有形文化財に指定。現在は一般公開されている。
<KUBOKURIで昼食>
古い店舗兼住居を鳥羽なかまち会のメンバーが改修した「ギャザリングスペースKUBOKURI」でランチ。手作りのよせ豆腐や豆乳入り豚汁などのもてなしを受けた。さらに参加者による質疑応答などが行われた。
(鳥羽なかまち会会長・坂田さん)「鳥羽駅からなかまちまでの間に200軒もの空き家があります。まずは空き家の持ち主とコミュニケーションを取り、貸したい(売りたい)人と商業(事業)を起こしたいという人をつなげることが必要だと思います。また、事業も大資本の会社ではなく、1?2人で起業できるような個人事業主が増えてほしいです。それが鳥羽なかまちの暮らしに見合っていると思うので。」
?参加者インタビュー/
西條エリ子さん
ゆったりとした時間を体験できました。地域の人がつながりを大切にしていて、何かあったら気軽に相談できそうなので、生活も安心してできると思いました。
柳千秀さん
今回で鳥羽という町が大好きになりました。地元の方はふれあいや交流に前向きでとても親切。ぜひ他の人にも体験していただきたい大変有意義な時間でした。
Information
<移住に関するお問い合わせは>
鳥羽市企画財政課移住・定住係
TEL 0599-25-1227
Mail iju-teiju@city.toba.mie.jp
HP https://www.city.toba.mie.jp/kikaku/teijuu/shoureikin.html
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