よんでみる{ magazine vol.21 }
Update on 2017.01.17

注目地域案内【プロダクト編】

ローカル発ホットトピック

移住の決め手は、地域の盛り上がりにあり!
活性化の手段は、拠点設置、イベント開催、移住支援などさまざま。
本誌では、そんな各地の事例を[拠点][仕事][プロダクト][イベント][移住支援]に分けて紹介しています。
こちらのページでは[プロダクト]をピックアップしました!


気候風土・文化の新たなかたち


広島県福山市「福山ブランド」
地産品から地域活動まで幅広くブランディングし「クリエイティブ」を促進

fukuyama4 (株)MIUKIのシードビーズを使ったアクセサリー http://fukuyama-brand.jp

「創造性溢れるまち」をコンセプトに「福山市都市ブランド」が始動したのが2014年。
これを受けて、2015年に生まれたのがクリエイティブな地産品・活動を認定・登録する「福山ブランド」だ。
募集部門は「産品・サービス」「素材・技術」「登録活動」の3つ。

fukuyama1 (有)草匠 福富の「ばら最中」http://fukuyama-brand.jp

地産品や技術だけではなく、地域にかかわる取り組みや活動も登録対象にふくまれている点が画期的だ。
審査をするのは、コミュニティデザイナー山崎亮氏をはじめ、地域プロデューサー、ファッションジャーナリストなどの外部有職者。
これまで、260件近い申請があったが、認定・登録されたのはわずか24件。とはいえ、最大の目的は認定・登録よりもその過程にある。申請数の多さは、地域に芽生えたクリエイティビティの現れなのだ。

沖縄県石垣市 USIO DESIGN PROJECT
島の魅力を再発見 クリエイターによるリデザイン事業

ushio1 USIO DESIGN PROJECTで生まれ変わった特産品の数々 http://usioproject.com

「USIO DESIGN PROJECT」は、石垣島の特産品をリデザインするために2013年に始動。プロジェクトに乗り出した石垣市役所観光文化課の狙いは、「モノを通して島の魅力を発信する」こと。

プロジェクトのパートナーは、都内で、ウェブや空間などのデザインを手がける「ロフトワーク」。新潟県の「大地の芸術祭」、「瀬戸内国際芸術祭」と連動した、特産品リデザインプロジェクトの実績を買われてのことだった。
リデザインする特産品は、島民の声などを取り入れ、10点の特産品に絞り込んだ。どれも地元の材料を活用し、島内で生産されているものばかり。島の生活に根付いた文化を感じさせる特産品であることを重視した。

ushio22 玄米と黒糖でできた「玄米乳」。パッケージデザインが日本タイポグラフィ年鑑2015の二つの部門で入選。(手前がリデザイン後)
 http://usioproject.com

デザイナーを公募すると国内外から200人以上の応募があり、リデザイン案は400点を超えた。デザイン案をそのまま商品化しないのが、ポイントになる。ディレクターを務めた寺井翔茉さんは、デザイナーとともに島を訪れる。

「デザイナーが島を訪れ、生産者と会い、商品化していきました。手工業の生産工程も多いので、デザイン性だけでなく、製造に取り入れやすくないと」
生産者との二人三脚で生まれた特産品は、元来の素朴さをとどめながらも、いまどきのポップなデザインに生まれ変わった。

「リデザイン後は、購入する客層が若くなったとか。プロジェクト終了後も関係が続いている生産者とデザイナーもいて、新たな商品開発も進んでいます」
現在、プロジェクトは「ISHIGAKI NOW」に派生。観光ガイドには載らない物語・魅力をウェブで発信し、島のファンを着々と増やしている。

岩手県西和賀市 「ユキノチカラ」ブランド
地産品を刷新する豪雪ブランディング

yuki △雪国のだんご屋・団平「雪のようせい」http://www.nishiwaga.jp/?cat=20

西和賀町は、豪雪地帯という環境を逆手にとって、ブランディングに取り入れた。どぶろく、焼き菓子、だんごなどの多彩な地産品を雪にちなんだデザインでパッケージング。展示会などで発表したところ評判は上々。西和賀にとどまらず「岩手みやげ」としての確立を目指す。来年2月には、西和賀の食と雪文化を伝える「ユキノチカラツアー」も開催予定。

静岡県 駿河づくり
若手職人による次世代・伝統工芸

suruga 戸田勝久氏の作品 http://www.suruga-creative.com

「駿河づくり」は静岡の伝統工芸を継承する若手職人グループ「するがクリエイティブ」のプロジェクト。
プロジェクトは、ウェブサイトやSNSを活用して、作品を紹介するとともに、職人たちの矜持きょうじやこだわりも発信。若い感性と伝統技術の融合によって生まれたプロダクトの数々は、普段使いしやすいデザインに仕上げている。



文:名嘉山直哉
全文は本誌(vol.21 2017年2月号)に掲載


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