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Update on 2016.12.21

森とともにある暮らしを求めて

下川町便り<連載2>

北海道下川町。人口3400人の小さな町には、1991年から少しずつ移住者が移り住み、自分らしい生き方を模索し、実践している人たちがいます。仕事と生活を循環(リンク)させるワーク・ライフ・リンク。下川町らしいライフスタイルを実践する人々を紹介します。


「ここ、景色がいいでしょう。会社の森のすぐ近くなんです。町外から友人や取引先・お客さまが来た時には、ここでランチしたりミーティングしたりするんですよ」
森林組合で森を管理する田邊大輔さんと、森林資源を活用してエッセンシャルオイルを製造・販売する奥様の真理恵さん。森のそばで暮らしたかった2人は、下川町で出会い、下川町の森に関わりながら暮らしている。下川町の森が織りなす田邊夫婦のこれまでとライフスタイルについて伺った。



森にかかわる仕事がしたい。
森林についてもっと学びたい


夫の大輔さんが下川町に移住したのは2004年。
幼少期の体験が、森につながったという。

「小さな頃、家の裏に山があって、森や自然がそばにありました。森は、遊び場であり、身体を鍛える場。漠然と、森や自然の中で仕事ができたらいいなと思っていましたね。大学時代はデザインを学び、東京で建築やデザイン会社で働いて。次第に『森林についてきちんと学びたい』という気持ちが高まりました」(大輔さん)

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「移住した2004年頃は、森林組合でホームページがあるのは10社程度。最初に目に飛び込んできたのが下川町でした。すでにエッセンシャルオイルや、間伐材などの木材を活用したビジネスにつなげていて、クリエイティブな組織にぐっとひかれたのも理由のひとつです」(大輔さん)

奥様の真理恵さんも、森に憧れ川下町に巡り合った。

「日本の森林資源や森の現状を知り、いつか森にかかわる仕事がしたいと思っていました。勉強会に参加したとき、北海道で初めてFSC認証を取得したのが下川町だと知り、すぐ下川町森林組合に連絡して見学に訪れました。」(真理恵さん)

当時、下川町森林組合に人材募集はなく、真理恵さんは個人的に何度も下川町に訪れた。
その後、エッセンシャルオイル事業の担当者だった大輔さんと知り合い、ほどなくして、彼が森林や木材について学ぶために下川を離れることに。真理恵さんは後任となり、その頃から2人の交際が始まり、遠距離となる。




自分たちが街を動かすプレーヤーに


大輔さんはその後、宮城で大工仕事や東京で造園の仕事をし、さらに林業について学ぶために信州大学に入学。真理恵さんは、エッセンシャルオイル事業を引き継ぎ奮闘する日々。2年余りが過ぎ、大輔さんが着地点に選んだのは、下川町だった。

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「各地で学びながら、いずれは下川に帰るんだろうなと思っていました。自分ができることとやりたいこと、人との関係性を考えると、やはり下川だなと。」(大輔さん)

下川町自体も、転換期となる。森林を軸とした産業が加速し、2008年には環境モデル都市に認定。
その流れで多くのプロジェクトが始動した。

「中枢でいろんな立場の人や仲間とともに創り上げて、とてもやりがいがありました。」(大輔さん)

真理恵さんも、同じく変化の時期にいた。

「私も、森林組合のエッセンシャルオイルづくりを担いながら、NPO法人森の生活へ同事業を移管する業務を行っていました。移管後は「フプの森」というブランド名でリ・ブランディングをしたり、2012年にはさらに事業を独立させる形で株式会社化したりと、転換期の真っ最中でしたね。」(真理恵さん)




森のあるライフスタイル


現在も、田邊夫婦の暮らしは森を中心に動いている。
森のライフスタイルは、下川だからこそ実現できることだという。

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「家で話すことは、フプの森や森林の話が中心です。以前は休日に天然林のある国立公園に出かけることもありました。最近は、新しいライフスタイルブランド「NALUQ(ナルーク)」も立ち上がり、家族で販促イベントに出向くことが多いですね。」(真理恵さん)

「フプの森が目指す『森のあるライフスタイル』を自分たちも体現したいと思っています。森の手入れをして、子どもと散歩して、天気がいい日は森の中でごはんを食べたり、次の新商品を考えたり。どうしたらさらに森に密接して暮らせるか、よく2人でそんな話をします。仕事もプライベートも境界線がないですね」(大輔さん)



■田邊夫婦のある日の一日

ONの日
5:00 大輔さん起床、仕事の準備など。
6:00 真理恵さん起床、家族で朝食。
7:00 大輔さん森へ仕事に。私有林、町有林などの育成や収穫に励む。
9:00 真理恵さんは在宅で仕事。子育てと家事の合間を縫いながら、会社の広報や販促物の制作など。
12:00 昼食は大輔さんは森の現場で。真理恵さんは家で。
15:00 真理恵さんはミーティングのため工場へ出社
17:00 真理恵さん帰宅
18:00 大輔さんが帰宅し子どもの面倒を見る。その間に真理恵さんが夕食の準備
19:00 夕食
21:00 子どもを寝かしつけたあと、2人でフプの森の仕事や家事。新商品発売の準備やイベント出店の前は忙しい。
23:00 就寝

OFFの日
5:00 大輔さん起床、森へ入る準備など
6:00 真理恵さん起床、朝食の準備
7:00 家族で朝食
8:00 大輔さんはフプの森が所有する森へ行き、森の手入れや販促用の撮影を行う。
9:00 真理恵さんはいつもと変わらず在宅で仕事と家事と子育て。
11:00 大輔さん一時帰宅
12:00 家族で昼食
14:00 子守を交代しながら、真理恵さんは家事、大輔さんは冬に向けての準備や、家のメンテナンスなど。
18:00 夕食の準備、夕食
21:00 子どもを寝かせる
23:00 就寝

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新しいひとを受け入れて
守ってくれる下川町で、これからも暮らしていく


会社のこれからについて、真理恵さんが語る。

「会社としては、森に小屋を作って、滞在型のショールームにしたいです。その先に、私たちが目指す『森の中での暮らし』もあると思っています。フプの森は、社員のライフステージの変化によって、カタチを変えていく会社でありたい。一人ひとりが仕事もプライベートも楽しみを見つけて、自己実現できる職場になりたいです。」(真理恵さん)

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暮らしについては、下川町にある安心感や密接感を感じて
これからも下川町で暮らしていきたいと二人は話す。

「15年前に移住してきた人たちは、森林や環境の保全をめざす意識の強い人が多かったように思います。今は時代が変わって、移住してくる人も自分の目指すライフスタイルを実現したいという人が増えてきましたよね。釣りがしたいとか、子どもを豊かな環境で育てたいとか、人とのつながりをもって生活したいとか。」(大輔さん)

「下川へ来て人とのつながりが圧倒的に増えました。札幌や千歳に住んでいたときは、地域の人と関わる機会は特になかったけれど、下川では、人口は少ないはずなのに、知り合いや友達が増えていって。暮らし方の感覚が全く変わりましたし、こんなにつながりがあると、もうどこかへ引っ越そうとは思わなくなりますよ。下川は新しく来た人を受け入れてくれて、見守ってくれる。そこが、移住者が増えている理由なのかもしません。」(真理恵さん)


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<下川便り01>世界中旅をしても、また下川町に帰ってくる

<参考サイト>
 下川町移住交流サポートWEB タノシモ

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