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Update on 2018.01.05

ハードとソフト、両方をやる。 それこそが、真のまちづくり

SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE / YAMAGATA DESIGN株式会社【後編】

世界的な経済誌「Forbs」で「日本を面白くするイノベーティブシティ」の第3位に選ばれ、今国内外から注目されている山形県鶴岡市

世界で初めて人工合成クモ糸素地の量産に成功したバイオベンチャー企業「Spiber株式会社」などが立地するバイオ研究拠点「サイエンスパーク」の一帯で、今新たなまちづくりが進んでいます。その開発整備を鶴岡市から引き継いだのが、2014年に設立されたまちづくり会社「YAMAGATA DESIGN」。“完全地域主導”による地方創生のモデルケースとして、全国から熱い視線が注がれています。


今回同社が募集するのは、サイエンスパークの開発整備の一環として、来秋開業予定のコミュニティホテル「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」で働くオープニングスタッフ。

後編では、同社のスタッフの方々に入社のきっかけや会社の雰囲気、暮らしぶりなどを伺いながら、「YAMAGATA DESIGN」、そして庄内エリアの魅力に迫っていきます。

※記事前編『【求人】人と人をつなぐ「コミュニティホテル」で働く』は、こちら!!
https://www.turns.jp/works/16013




スピード感と実行力で、新プロジェクトが続々進行中


ハードとソフト、その両方を兼ね備えることが真のまちづくりであるーー。大手不動産会社で全国各地の不動産開発に携わってきた「YAMAGATA DESIGN」代表取締役の山中大介さんには、こんな思いがあります。


「今世の中では、中央資本による地方のハード中心の開発と、コミュニティ形成というソフトだけのまちづくりの二極化が進んでいますが、まちづくりってハードとソフトの両方をやることが大事だと思うんです」

「今つくろうとしている水田に浮かぶ木造二階建てのコミュニティホテルは、庄内の自然を存分に生かした空間になりますが、それもハードが人に与える影響が大きいからこそ。それだけでなく、ソフト面でも地域の方々と宿泊される方々が交流できる仕組みを考えています。

この地域だからこそ叶うかっこいい空間で、コミュニティを生むという両方のことをやっていきたい。中央の大資本がやろうとすると、超合理化されてしまってこんな形にはなりません。それを実現するためには、“地元の人がお金を出して実行する”という僕らの方法以外にないんです」

中央の大資本が行う合理化された開発整備とは一線を画し、地域に根をおろした自分たちだからこそできる、地域の人や未来を見据えた街の開発をめざしています。

サイエンスパークプロジェクトでは、今回スタッフを募集するコミュニティホテル「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」と、子育て支援施設「KIDS DOME SORAI」の開発整備を進行中。


これと並行して取り組んでいるのが、「人と自然をつなぐ」をテーマに庄内全体をフィールドにしたグリーンネイバープロジェクトです。このプロジェクトでは、今年9月、水田が広がる農村エリアにオープンした「FARMER’S DINING CAFE IRODORI」の運営をはじめ、広大な圃場で無農薬の野菜づくりを行う計画や、グランピング場をつくる構想もあります。


地域の食材をふんだんに使用し、「心身を満たす食事」を提供する「FARMER’S DINING CAFE IRODORI」は、「地元の人が地元のものを気軽に食べられる場所をつくりたい」という山中さんの思いから実現した場所。取材当日は平日にもかかわらず、オープン直後から多くの人でにぎわっていました。今後はローカルチェーンとして、海、山、川、それぞれに計3店舗を新たに出店する予定です。


「実際にカフェをやってみると、冬場は地元産の野菜の流通が少なく、年間通して地元の野菜を仕入れられないことがわかってきました。じゃあ自分たちでつくっちゃおうと、無農薬による野菜づくりの計画が動き出しました」

その動きが出てきたのはここ最近のことですが、すでに具体的な構想はふくらんでいます。このスピード感と実行力こそが、同社の強み。コミュニティホテルの開業後も、さまざまな課題から新たなプロジェクトが生まれていきそうです。

コミュニティホテル、カフェ、農業、子育て支援施設……。一見バラバラに見えるようでも、「まちづくりという柱ですべてが有機的につながっている」と山中さんは話します。


「僕は前職時代、まちづくりという言葉が超嫌いだったんです。というのも、やっばりどこか胡散臭いという思いがあって。まちづくりと言いながら、やっていることは利益の追求で、そこにすごく違和感がありました」

「だから、会社を立ち上げた当初は不動産開発運営会社と言っていたんですが、ここ最近は“まちづくり会社”と自ら言うようになりました。それは、すべてがつながっていることに気づけたから。人々が幸せに生きるための場と仕組みをつくることがまちづくりと捉えると、自分たちがいいと思ったことは何をやってもいいなと。すべてが有機的につながっている中で、そのすべてをやっていきたいと思っています」

地域のしがらみの中にあえて飛び込み、いいと思ったことはどんどんやっていく。「庄内に暮らす人々がいかに幸せになれるか」を常に考え、この地域に軸足を置いているのです。

社長との出会いによって、運命の歯車が動き出す


山中さんの言葉の一つひとつには、「自分も一緒に新しい街をつくる仲間になりたい」と聞く人の心を動かし、ワクワクさせる力があります。実際に山中さんのまちづくりへの思いと実行力に惹かれて、国内だけでなく、カナダやドバイなど海外からのUターン者など、多彩な経歴を持つ25名のスタッフが集まっています。

その中から、コミュニティホテルと隣接して同時期に開業する子育て支援施設「KIDS DOME SORAI」の運営を担当する二人のスタッフに、話を聞いてみました。


一人目は、同施設の館長に就任予定の後藤充子さん。地元出身で子どもたちに提供する教育プログラムの統括を担っています。

後藤さんは、山中さんから声がかかったことが入社のきっかけになりました。

「この方たちとなら、何かここで楽しいことができそうだなと感じました。残りの人生、こういうところに賭けてやってみるのもいいかなと思いましたね。自分の感覚を信じてよかったな、と毎日思っています」

実際に働いてみて、会社の雰囲気はどうですか?

「スタッフはみな個性があってスマートで、客観的に物事を見ることができる人がそろっています。当たり前のことはしたくない、という才能の集まりですね。私は71歳で一番の年長者ですが、黙っていてもみんな動いてくれるので、私がいなくてもいいんじゃないかと(笑)。本当に勉強になるいい会社です。毎日とても楽しくてスキップで出社していますよ」

やさしさと知性にあふれ、人一倍勉強熱心な後藤さんの存在に、周りのスタッフは感化され、日々たくさんの学びを得ています。20代の若手から後藤さんのような経験豊富な方まで、スタッフの幅広い年齢層も、同社の魅力の一つです。


二人目が、同施設のプロジェクトを務める土屋陽子さん。同じく地元出身で、カナダ留学を経た後、現地で不動産業を立ち上げた経験があり、帰国後はサイエンスパーク内の慶應義塾大学先端生命科学研究所で広報として働いていました。そして2017年4月、「YAMAGATA DESIGN」に入社しました。

「慶應義塾大学先端生命科学研究所で働いていた頃から、すぐ隣で、まちづくり、まちづくりとやっているのを見ていて、気になって仕方がなかったんです。私はこの街が大好きで、もっと地元に密着した仕事がしたいとうずうずしていたので、なんだかうらやましくて。そんな時、ちょうど新聞に出ていた求人が、私宛の招待状くらいに思えて(笑)。すぐに応募したことが、入社のきっかけになりました」

念願の入社を果たした土屋さんに、一緒に働くスタッフの方々の印象を聞いてみました。

「みんな正義感が強くて、地域のためになることをひたすら考えている人たちばかり。これまでの経歴も多種多様なので、その人にしか持ってない知識やネットワークが仕事にも生きています。例えば、『KIDS DOME SORAI』についても、自分たちの思いを言葉にするのは難しいのですが、そこは記者やコピーライターをやっていたメンバーがサポートしてくれたり。得意分野が分かれているので、互いに力を発揮し合えるのがいいですね」


今二人は「KIDS DOME SORAI」のあそびと学びのコンセプト作りからハードの設計・体験プログラムなどを構想し、つくり上げている真っ最中。「スタッフ同士がよく話し合い、思いを共有することは当たり前。とにかく何でも話をすることが基本になっています」と後藤さん。たしかに取材中も笑顔が絶えず、この仕事を心から楽しんでいることが伝わってきます。


そしてもう一人、話を聞いたのが、2016年8月に入社した広報部長の長岡太郎さん。山形県のほぼ中央にある寒河江市出身の長岡さんは、山中さんとの出会いによって入社を決意した一人。NHKの記者として鶴岡市に赴任していた時に、取材先の一つとして「YAMAGATA DESIGN」にコンタクトをとったことから、運命の歯車が動き出しました。

「山中さんと会って、取材のつもりで話を聞いていたら、おもしろすぎて、一緒にやりたくなっちゃったんです。それからいてもたってもいられなくなって、やろうと決断し、3日後には会社に退職願を出していました」

この話からも、山中さんの持つ“人を巻き込む力”を実感します。長岡さんから見て、会社の雰囲気はどうですか?

「自由すぎるわけでもなく、ベンチャーのように砕け過ぎてもなく、ほどよいバランスを保っています。そんな中でも、勤務体系はフレックスだったりと、ベンチャーの良さは日々感じています。例えば、子どもが熱が出した時には保育園に迎えに行き、そのまま自宅で仕事をして、スカイプでミーティングをしたりすることも。特にそういう制度をつくっているわけではないんですが、みんな阿吽の呼吸で柔軟にやっています」


「また社内では全員“◯◯さん”と呼んでいて、上も下も関係なくみんな敬語でやりとりしています。そのおかげで上司・部下という縦割りではなく、お互いにフラットな関係性を築けています」

風通しのいい雰囲気の中、スタッフ同士が互いを信頼し合い、価値観を共有しながら働くことができているようです。

街全体の勢いと人々のエネルギーが、庄内エリアをもっとおもしろく!


Iターンのスタッフはこの街でどんな暮らしをしているのしょうか。長野県から移住し、コミュニティホテルの総支配人に就任する市川弘行さんは、農村エリアに古民家を購入。休日は趣味のDIYに精を出しているそうです。また地元で活動するクラフト作家の友人もたくさんでき、工房に遊びに行ったり、出店しているイベントに顔を出したりと、日常の中でも地域のとつながりが生まれています。

市川さんの手作り看板

「庄内エリアは、海、山、川、田園風景とバラエティ豊かな自然が魅力。さらに、在来の野菜が50種類以上も残っていたり、全国的に有名なイタリアンレストラン『アルケッチャーノ』のお膝元だったりと、世界に誇る食文化もあります。実際に住んでみても、とてもおもしろいエリアですね」

「地域にどっぷり入り込むことで、いろんなつながりができていく。それを仕事を通してできることが、この会社のいいところ」という市川さん。そんなつながりは、日常生活の中でも生かされています。

また、同社ではIターン者向けに社宅を完備しています。それが今年9月、同社のプロデュースによって完成したシェアマンション「パークサイドビレッジ」です。部屋は個室に分かれていますが、広いシェアリビングがあるので、一つの家族のような雰囲気の中、住人たちと交流を深めることができます。



「Iターンの方には、まずはここに住んでもらって、庄内のことを知り、人のつながりをつくりながら、じっくりと住みたい場所や家を探してもらえればと思っています」と長岡さん。人のつながりやご縁を大事にする「YAMAGATA DESIGN」らしい配慮が感じられます。

まちが誇る歴史資源が日本遺産に選ばれたり、ユネスコの食文化創造都市に認定されたりと、近年国内外から注目を集める話題が少しずつ増えてきた鶴岡市。スタッフの方々も、この街のいい流れを日々感じているそうです。


「今鶴岡市で注目を集めているものの一つが、ここサイエンスパークです。15年ほどの間に、このエリア内で約400人の雇用が生まれ、『YAMAGATA DESIGN』のようなまちづくり会社も誕生しました。さらに来秋にはコミュニティホテルと子育て支援施設が開業し、新たにスタッフが増えます。すごくいい流れになってきている気がしますね」(長岡さん)

「ここ数年で感じているのが、外の人が庄内のことをすごくほめてくれるようになって、ここに住みたいと、いろんな人が来てくれるようになったこと。それによって、この街で新しい事業がどんどん動き始めていることが、すごくうれしい。庄内の可能性を認めてくれる人がいて、実際にそれが形になってきている、そんないいフェーズに入っているなと思います。10年後、子どもたちが大きくなった時に、『鶴岡に残りたい』と言ってもらえるような街にしていきたいですね」(土屋さん)

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さらに今、庄内エリアでは、「YAMAGATA DESIGN」のスピード感ある動きに触発されて、新しいことを始めようと動き出す人たちが増加中。

「街の人たちの力が一つに結集すると、大きな何かを生み出せるんじゃないかと思っています。コミュニティホテルをその核になれるような施設にしたい」と市川さんは決意を新たにします。

地域が自ら投資をすることで、自ら意思決定できる街をつくるーー。「YAMAGATA DESIGN」の常識にとらわれない新たなチャレンジは、まだまだ始まったばかりです。


記事前編『【求人】人と人をつなぐ「コミュニティホテル」で働く』は、こちら!!
https://www.turns.jp/works/16013

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現在、SORAIでも求人を募集しています!
詳しくは、YAMAGATA DESIGN株式会社のホームページを御覧ください。
https://www.yamagata-design.com/recruit-1/kids-dome-sorai

文:中里篤美 写真:矢野航

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