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Update on 2017.08.07

旅して恋する、伊豆大島。

【レポート】伊豆大島で縁結びの旅ができる?

東京、竹芝港からおよそ2時間。
伊豆大島には東京とは思えない別世界が広がっていた。都内では見かけない大きな植物が道路の両端で生き生きと育ち、青い海と鮮やかな花々が迎えてくれる。そうだ、これは南の島に行った時に感じる空気だ。

改めましてこんにちは。TURNSのイトウハルカです。先日、伊豆大島に1泊2日で行ってきました。
  
火山と椿が有名な伊豆大島は、家族や友人、ひとり旅も楽しめそうな場所だったが、今回は男女で旅をしたらという視点も織り交ぜながら、旅のレポートをしようと思う。

というのも、伊豆大島に行った目的というのが「縁結び」をテーマにした新しいツアー開発のための視察に同行するためだったからだ。東京都及び公益財団法人東京観光財団(TCVB)が取り組む「島しょ地域を活用した縁結び観光プロジェクト」の一環として、今回は伊豆大島を舞台にモニターツアーが実施された。TURNSはその情報発信役として参加させていただいたのだ。

それでは、現地で感じた伊豆大島の魅力を伝えるべく、TURNSイトウ目線でツアーの様子を一部ご紹介したい。

旅の行程
・1日目
サンセットパームライン・野田浜バディーズベル
赤っ禿見学
昼食
椿湯絞り体験(伊豆大島ふるさと体験館)
海のふるさと村キヤンプ場見学
三原山 登山
ホテル宿泊

・2日目
波知加麻神社見学
竹芝着
大型客船見学



柳原良平氏がデザインしたカラフルなジェット船

朝8:45。
旅行会社やメディア各社の方々と共に伊豆大島に向けていざ出航。
イトウは船酔いするタチなので、出鼻からくじかれそうだった。船に弱い女子はここでテンションがガタ落ちしてしまうかもしれない。体調の悪い旅は恋が生まれるどころか最悪である。しかしその心配は杞憂だった。私たちが乗ったジェット船というのは海上を浮いて走行するので、ほとんど揺れがないのだ。なおかつ早い。ちょっと居眠りをしているうちに南の島へ到着していた。

港に降りた瞬間、都内とは流れている空気や、太陽の日差しも違い、南の島に来た!という感覚になった。

まず私たちが向かったのは、サンセットパームラインという場所にある「野田浜バディーズベル」。結婚式の鐘や、指輪を想起させる「信頼の輪」がテーマのモニュメントだ。

バディーズベル

右手にはクジラに似てると言われている丘がある

このベルが結構重いので、男女ペアで一緒に鳴らすくらいがちょうどいいかもしれない。ここで初めての共同作業かしら、となりそうである。実はこのモニュメントが建てられたのには深い訳があって、(個人的にはそちらのエピソードにぐっと来たのだがここでは敢えて触れない)そこから派生して、永遠の愛を確かめ合うロマンチックなスポットとなっている。

ここでは縁結びっぽい写真を撮ろう!というフォトコンテストが行われ、参加者はハートの石を探してみたり、各々試行錯誤してナイスショットを集めた。何かこう目的があると、ただ景色を楽しむだけでなく、また違った目線で周りを見ることができ、初めましての人ともコミュニケーションが生まれ、なかなか充実した時間になった。

石を並べてハートに。海岸の石の色は様々。

ハートの石、みっけ

流木も写真アイテム

ザ・カップルな一枚

そのあと「赤禿(あかっぱげ)」と呼ばれる夕日の絶景スポットを経由し、待ちに待った昼食。
海の側で食べる魚は普段よりも美味しく感じるものだ。美味しい食を囲むと、参加者同士の方の力が抜けて、話しやすくなってくる。

赤っ禿。溶岩の粒が積もってできた真っ赤な丘

美しい海鮮丼

昼食を取った店にも柳原良平さんの作品が


お腹が満たされたところで、椿湯絞り体験をすべく、伊豆大島ふるさと体験館へ移動。
「大島椿」という黄色いパッケージのヘアケア剤を誰もが見かけたことがあると思うが、伊豆大島は椿で有名な島だ。

椿の香りが漂う伊豆大島ふるさと体験館

昔の椿の瓶が可愛い

島には300万本もの椿が生えていて、古くから椿を利用した産業が盛んに行われてきた。
機械化に伴い昔ながらの製法で椿油を作っているところはほとんど残っていないそうだが、ここ伊豆大島ふるさと体験館では昔ながらの原始的な製法で椿油絞りが体験できる。

椿のタネを杵と臼のようなものでゴリゴリ潰し、蒸し、圧縮するという一連の流れを体験させてもらった。タネを細かく砕くのはなかなか難しく、やり直し!のダメ出しをいただきながらグループに分かれて潰した。なんとなく“グループ対抗細かさ対決”のようになったので、ここで同じグループとなったメンバーとはチームワークが芽生えそうだ。蒸したての椿の種は、まるでクッキーが焼けたような甘い香りがした。最後は人力が原動力の圧縮機でじわりじわりと絞る。ここは男性陣、力の見せ所である。

身が落ちてからこの状態になるまでも、時間がかかる

みんなで協力して作業を進める

偶然居合わせたカップルも一緒に参加。楽しそうで何より。

たくさんの種から搾り取れる油はほんのわずか。あんなにやってたったこれだけかと思うと、椿油へのありがたみが湧いて来た。黄金色に輝く搾りたての椿油は、食べても美味しかった。知らなかった椿油の作り方を体験でき、学びの多い時間となった。

そして椿油以上に心を掴まれたのは、案内役のキクチさんである。快活なトークと思わずツッコミを入れたくなる絶妙な間の取り方は、お笑い上級者とでも言いたくなる。体験中、幾度と場を沸かせていただいた。ついでに見せてくれた太鼓の舞も格好良かった。

ここはキクチさんに全部持って行かれたような気もするが、現地で会える人が魅力的だということは、何物にも変えがたい価値だと思う。私はキクチさんに是非またお会いしたい。

普段は農業をしているらしい。百姓は何でもできる。

椿油のお土産をいただき次に向かったのは、島の東岸に位置する「海のふるさと村」。

ここは島唯一のキャンプ場で、テントサイトのほか、6人で使える大型のテントやロッジが設置されている。また、オーシャンビューが楽しめるプール(誰でも無料!)、テニスコートやキャンプファイヤー場などが揃う。キャンプファイヤーを囲んで語らい輪になって踊れば、距離がぐっと縮まるに違いない。

セントラルロッジという綺麗な宿泊施設もあるので、「テント泊とか無理。」という女性でも安心だ。縁結びツアーが実現した際には、きっとここが宿泊候補地になるのではないだろうか。

海の見えるテントサイト

セントラルビレッジ


次に向かったのは、島のシンボル三原山。
島の中心にそびえる三原山は、いつも湯気が上がっている若い活火山だ。
近年では1986年に噴火して、全島民避難が行われた。火山のある島に住むのは怖くないのかと思うかもしれないが、島民は「御神火」として火山を敬い、上手に付き合いながら暮らしてきた歴史がある。

三原山山頂を目指す。と、遠くない…?

広大なカルデラ。遠くに山が見えるがこれがカルデラを囲っている

大昔の大噴火によって形成されたカルデラ(くぼ地)を抜け、山頂を目指すのだが、スケジュールの都合上、片道20分で登るというミッションが課せられた。
富士山と樹海を前にしたような気分で、たじろぎながらも行くしかないと腹を決め歩き始めた。

だいぶ早歩きです

このカーブはあと何回あるのだろう・・・(遠い目)

「三原山登山道路」というルートで登ったのだが、きれいに舗装されているため歩きやすい。道の両脇は溶岩と、その上に再生された森と、すすき野が広がっている。紫陽花まで咲いていた。焼け野原の上に再び根を張る植物の生命力に励まされ、火山口までは行けなかったが山頂には到達することができた。

名物、ゴジラ岩。偶然にも「三原山の火口からゴジラ復活」の映画の後に誕生したそう

火口。60階建てのビルがすっぽり入る深さ

山頂には「三原神社」という奇跡的に噴火被害を免れた神社があり、綺麗に神社を避けた溶岩の跡が確認できる。まさに神業と感動し、これはきっとご利益があるに違いないとすかさずお参りをさせて頂いた。

三原神社の鳥居と、山頂からの眺め。キラキラ光るのは空ではなく海。ここからだと高い位置に海が見えるのだ。

登頂した達成感・清々しさはこの上ない。そこからしか見えない景色、汗をかいた肌を撫でる風に、心が洗われた。みんなで同じ達成感を得て、我々一行は急に仲良くなったような気がした。登る前と後では雰囲気が違う。

縁結びのツアーをするなら、三原山で何かが生まれるのではないかと思う。ここはパワースポットとでもいうような、何か特別な感じがする。


椿油で揚げる串揚げ。笑っちゃうくらい美味。

宿に戻ってからは、伊豆大島の方々と意見交換会を行い、美味しい夕食をいただき、さて温泉へ、の前に再び外へ繰り出した。

その日最後のイベントは星空鑑賞会。伊豆大島の広い夜空を楽しむべく、人家のない高台へ向かった。遠くに真鶴と東京の光が見えた。星空ガイドの方は星の説明だけでなく、座椅子やマットを用意してくれるので、ふかふかのマットに寝そべりながら、首を痛めることなく星空を楽しむことができる。男女で観たらとてもロマンチックだろう。カップルにはもってこいなコンテンツだ。
天体望遠鏡もあるので、より専門的な星の鑑賞も楽しめる。天体望遠鏡で見た土星の輪っかに参加者一同感嘆の声を上げていた。

そうして盛りだくさんな1日目が終了。
温泉で疲れを落とし、伊豆大島での1日に思いを馳せ眠りについた。


波知加麻神社の参道。まっすぐに森へ伸びている

翌日は「波知加麻(はちかま)神社」を見学。
ここは森の中にあるひっそりとした神社で、参道が森と一体化し、鳥居も素のままの木でできている。苔が生した参道の先はほの暗く、その佇まいが神聖で畏れ多く感じた。都会の人が言いがちだが、「ジブリっぽい」と言いたくなる雰囲気だ。奥に残る原生林などを観て回り、波知加麻神社を後にした私たちは港に向かった。

いつの間にカップル成立…?ではないが、ペアルックのTシャツでお参り。参加者同士こんなに打ち解けました





東京に着いたら、やっぱり空気が違った。なんか、重い。人、多い。伊豆大島での伸びやかな気持ちから、なんだかちょっと魔法が解けてしまったような気分になった。

島での滞在中ずっと感じていたことだが、伊豆大島は自然の持っている力が大きい。そもそも活火山でできた土地にいる時点で、ものすごいエネルギーの上に立っていることになる。その厳しい大地に根ざす植物の生命力も高く、とても生き生きしていた。

そういう場所にいると、なんだかこちらも元気が湧いて来るのだ。普段都会の中で閉じこもっている心が、自ずとほぐれてくる。

初めましての男女が集まったら、それは緊張するだろう。けれど閉じこもっていたら、結ばれるものも結ばれない。だけど伊豆大島のような場所で出会うなら、素直な自分が出しやすく、東京で出会うより上手くいくかもしれない。

今回モニター参加者同士が一日で打ち解けたように、場の持っている力と、面白いコンテンツが合わされば、自ずと人との距離は縮められるのだろう。伊豆大島の可能性を感じた一泊二日の旅だった。

今後、伊豆大島が新しい縁が生まれる場になることに期待したいと思う。




(写真:渡部聡 文・一部写真:伊藤春華)

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