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Update on 2017.05.29

埼玉県の中心にある、やきとりのまち?

【TURNSblog ヤノ行ってきました!】埼玉県東松山市

こんにちは、TURNSのヤノです。

日本全国様々な地域を取り上げるTURNSですが、僕個人では、まだまだ行ったことがない地域がたくさんあります。

そこで、これから僕が初めて訪れる地域をご紹介して、その地域について読者の方にも一緒に知ってもらおう!ということで、これからいろいろな地域をご紹介していきたいと思います。




今回ご紹介する地域は、埼玉県東松山市。

東京生まれ東京育ちの僕ですが、となりの県である埼玉県、実はあまり行ったことがなく。近くにあってもなかなか知らない埼玉県。そのちょうど真ん中に位置するのが東松山市。やきとりがまちの名物で、駅のホームにもやきとりの広告が使われていました。普段、東武東上線を使う人には、やきとりが有名なまち…という印象を持っている人が多いかもしれませんね。


東松山市がどのような地域か簡単に説明すると…(※まだ現地を訪れる前に調べた印象)

・東京からのアクセスが良い
・埼玉県のちょうど真ん中くらいに位置している
・自然が豊か
・やきとり屋がたくさんある(ちなみに、東松山でやきとりというと、豚のカシラ肉を炭火でじっくり焼いたものを指すそう。つまり焼き豚ですね)
・化石発掘体験(海なし県なのにサメの歯が発掘される)
・こども自然動物園


などなど。やきとりなのにブタとか、海なし県なのにサメとか、正直インターネットで調べただけでは、東松山市がどのような地域なのか、その全貌は見えてきませんでした。

いざ、東松山へ

とにかく現地に向かうことに。
池袋駅から電車に揺られること約1時間。乗り換えもなくあっという間に、東松山駅に到着しました。

はじめて訪れるまちを一人で周るのも不安だったので、今回は東松山に詳しい『NPO法人チーム東松山』の代表を務める松本浩一さんに同行していただき、どのようなまちなのかご案内していただくことに。


待ち合わせ場所は、チーム東松山が運営しているコミュニティカフェ・まちカフェ。

まちカフェまでは駅から歩いて10分ほど。向かっていると…


調べた通りやきとり屋がありました。


本当にたくさんあるみたいですね。


ここにも。


あっちにも。






たった10分ほどの道のりにこれだけのやきとり屋が(写真にはとってないやきとり屋は他にもたくさんありました)。

まちカフェは、美容室だった空き家を改修してつくられた、まちのコミュニティスペース。

「じゃあ、車で市内ご案内しますよ。ちょっと散らかってますけど、どうぞ」(松本さん)

まず案内していただいたのが駅前付近。


東松山駅についた最初の印象は、よくある郊外のまち並であまり特徴がない…といった感じでした。
ちゃんと記事にできるだろうかと不安に思っていましたが、案内していただくと全くそんなことはなく。

「駅前のエリアは歴史的な建造物が多く残っているんです。でも空き家になってたりするところもあって。もっと人が集まるようなカフェにしたり、何か有効に活用できないかなって考えてるんです」


駅の近くを歩いているだけでは、気がつかなかったんですが、歴史のある建物がまちの中に点在しており、使い方次第では、まちの魅力となる新しい拠点になりそうなところがたくさんありました。まちの整備計画の都合で取り壊されてしまう建物もあるというのが残念なんですが、是非とも建物を生かすことができるようなアイデアを地域の外の人からも欲しいとのこと。まだ拠点となるような場所が市内に少ないだけに、これからおもしろい動きが起こり始めるのではないかと、第一印象はいい意味で裏切られ、東松山への期待値が一気にあがりました。

好きな暮らしを選べるまち東松山


市内を見渡すと、太陽光パネルを備えた家がたくさんあリます。理由を松本さんに尋ねると、東松山市はエコタウンプロジェクトを推進しているから、とのこと。

そんなエコなまち東松山でオフグリッドな暮らし方を紹介している、モデルハウス“ひきいるハウス”を訪ねました。


家の中に入れていただくと、木のいい匂いがしてなんとも居心地のいい空間でした。

「実は、ひきいるハウスには、冷房器具がついてないんですよ。だから夏でもエアコンは使わないんです。冬には、ペレットストーブで暖をとってます」(ひきいるハウス代表:八巻秀房さん)

そうはいっても、さすがに夏は暑いんじゃないですかと尋ねると、

「ひきいるハウスは木材を100%使って建てられてて、高気密・高断熱で作られているんです。だから、夏でも窓を開けていれば、風が通って涼しいんですよ」(八巻さん)


断熱材も新聞紙から作られる『セルロースファイバー』というものを使っているそう。また、障子などには小川町で作られた手すきの和紙が貼られていました。ひきいるハウスは電力だけでなく、暮らしにまつわる資源全てに気を配られています。オフグリッドなどについてあまり詳しくない僕でも楽しめる、様々なアイデアが詰まった場所でした。

ちなみに、八巻さんに相談すれば、一部の電力をオフグリッドにするなど、住む人のオーダーに合わせた暮らし方も提案していただけるそうです。

※オフグリッドとは…電力会社の送電網から完全に切り離して再生可能エネルギーなどを蓄電し家の電力をまかなうことです。興味のある方は、調べてみてください。

***

「こんにちはー。

…。

畑に行ってていないのかな…。家主さん留守ですけど、ご案内しますね」(松本さん)

東松山駅前のどちらかというと都会的な雰囲気とはうって変わって、突然田舎のご近所さんのような近い関係性に驚きつつも、次に案内して頂いたのが築300年の歴史ある古民家。


「ここは築300年の古民家なんですけど、女性の方が改修していて、ゲストハウスとか、新しいまちの拠点になるような場所にしようとしているんです。ただ、見ていただくとわかると思うんですけど、家が大きくて。一人じゃ手が回らないだろうから、色々お手伝いしていきたいと考えてるんです」(松本さん)

ちょっと小道を進むと突然姿を現す、築300年の古民家。
“築300年”という歴史の長さにも驚かされるんですが、家がもつ雰囲気というか家と周りの庭が持つ存在感に心惹かれます。この取り組みのように、古いものを壊して新しいものを作るのではなく、古くから残るものを大切にして再利用し未来に残そうという思いが、地域独自の魅力に繋がっていくんだろうと感じました。

「4月頃には上沼公園と下沼公園をつなぐ小路を灯ろうの明かりで結ぶ「東松山夢灯路」というイベントがあるんです。その沼の名前なんですが、東京に近い方が“上”沼だと思うじゃないですか?でも実はそうじゃなくて。京都に近い方が上沼なんです。なかなか気がつきにくいんですけど、まちのいたるところに、昔のまちの名残が残っていたりするんです」(松本さん)

他にも、市内にはのんびりとした田舎の風景だったり、乗馬体験ができる牧場、蛍が見られる川、自然体験ができるような場所、全国都市景観100選に選ばれたエリア…などたくさんのスポットが多くありました。






東松山は、事前に調べた通り豊かな自然と便利なまちの機能が両立した地域でした。しかし、1日かけて東松山を周ってみると、インターネットには載っていない、実際に現地を訪れて初めてわかる地域の魅力がたくさんありました。まちについて詳しい現地の人に案内していただくと、「実はここはこんな場所で…」といったように、観光情報としてあまり出ていないようなことを聞けるので、より地域への理解が深まります。

自然が豊かで、東京から近くて…のように割と耳にするようなイメージではなく、自分で見て、感じたまちは事前に調べた情報なんかよりずっと魅力的で、身近に感じることができました。

やっぱり、地域について知ろうと思ったら、実際に行ってみないとわからないことが多いですね。
これからも行ったことのない地域にどんどん行きたいと思いますので、皆さんも記事を読んで気になったら、実際に足をはこんでみてください。

(写真・文/矢野航)

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