東京で暮らしていると、
土への感謝の気持ちをつい忘れてしまいがちです。
でも、おいしい米や野菜が食べられるのも、
四季折々の草花を部屋に飾れるのも、
あるいは旅先で田園風景に心癒されるのも、
すべて土があればこそ。
土は人生を豊かにします。
野草の魅力を多くの人に伝えている鶴岡舞子さん、
土壁づくりに挑戦している丸瀬夫妻、
週末農業を実践するデザイナーの安福友祐さん、
年収1000万円の農家をめざす松木裕さん、伊藤佑貴さん。
さまざまなかたちで、土と向き合って暮らしている
地方のみなさんを紹介します。
写真:服部希代野
今号の「TURNSな人々」でご紹介するのは、
パーマカルチャーデザイナーの四井真治さん。
命の仕組みを実感できる暮らしのデザイン
「本当の豊かさとはなにか。子どもの頃からそれを疑問に思いつづけてきた結果、たどり着いたのがパーマカルチャーだったんです」
南アルプスを眼前に望み、豊かな自然に囲まれた山梨県北杜市。風光明媚なこの土地で、四井真治さんは、自身が提唱する日本のパーマカルチャーを実践しながら家族4人で暮らしている。
パーマカルチャーとは、オーストラリアで生まれた、人間にとって持続可能な環境を生み出すデザイン体系のこと。人間が生態系の一員となり、人から自然、自然から人へと循環するライフスタイル設計のことだ。
学生時代、パーマカルチャーの教本と出会い、感銘を受けたという四井さん。卒業後は、緑化会社勤務を経て長野県伊那市へ移住。そこで、農業経営、有機肥料会社勤務を経験し、2001年に土壌分析による土壌改良と有機肥料の販売を始め、パーマカルチャーデザイナーとして独立した。当時は築130年の古民家をリノベーションしてパーマカルチャーを実践していたが、「現代人にもっと等身大の提案をするべきだ」と、森に囲まれた一軒家を購入し2007年に北杜市へ移り住んだ。
「ここは環境も景色もすごくいい。だから地元の人も、新しく入ってきた人も”暮らし”を一生懸命、がんばろうという人が多い。それにここなら、子どもたちにいつまでも変わらない故郷を残せるだろうな、と。それもこの土地を選んだ理由の一つでした」
四井さんの考えるパーマカルチャーとは、「自然の仕組みに沿った地球にやさしい暮らしのデザイン」というような、単なるエコロジー思想とは少し異なる。「人が生態系に入ることでその場の自然環境がより豊かになる暮らしのデザイン」という、より能動的でポジティブな自然とのかかわり方が考え方のベースにあるという。
「学生の頃は、環境をいかにして守るかという立場で考えていたので、人間嫌いだったんです。人さえいなければ自然は回復するのに・・・とまで考えていた。でもそれは、自分の存在を否定することでもありますし、もし子どもたちがそう考えるならば、すごく悲しいことです。パーマカルチャーを実践するにつけ、人も自然の一部であり、いてもいい存在だと気づけて、すごく楽になりました。自分もこの循環のなかで役割を果たせばいいんだ、と」
文:曽田夕紀子 写真:砺波周平
全文は本誌(vol.18 2016年8月号)に掲載
他にも、日本一有名な”地産地消レストラン”のオーナーシェフのインタビューや
ビジネスとしての農家ってどうなの?を紐解く、今注目の農業法人5選など
「土と暮らすヒント」となるような情報を詰め込みました。
「移住のイロハおしえます」では、
自分らしく始める土とのかかわり方をご紹介!
適性フローチャートで楽しみながら、”土のある暮らし”を始めるきっかけづくりにしてみてください。
(続きは、本誌にて。)
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